落ち込み深刻な外食産業 “巣ごもり需要”で白物家電は好調

日本国内で新型コロナウイルスの感染者が初めて確認されてから1年余り。感染拡大の防止に伴った外出の自粛などが経済活動に大きな影響を及ぼしていることが、25日に発表された統計データから明らかになりました。
全国の主な外食チェーンでは、休業や営業時間の短縮もあって、去年1年間の売り上げは、前の年を15.1%下回り、落ち込み幅は過去最大となりました。
一方、エアコンや冷蔵庫などいわゆる白物家電は、自宅で過ごすいわゆる巣ごもり需要が高まったことなどから、去年の国内出荷額は2兆5300億円を超え、24年ぶりの高い水準となりました。
新型コロナの影響は、業種によりはっきり分かれた形となりました。

外食チェーン 過去最大の落ち込み

日本フードサービス協会によりますと、全国の主な外食チェーンの去年1年間の売り上げは前の年を15.1%下回りました。
減少幅はリーマンショックの影響を受けた2009年の1.5%を上回り、現在の方法で統計をとり始めた1994年以降で、過去最大となりました。
新型コロナウイルスの感染拡大で外食を控える傾向が強まったことに加え、休業や営業時間の短縮が相次いだことが大きく影響しました。

業態別では
▽「パブ・居酒屋」がマイナス49.5%と最も落ち込みが大きく、
次いで
▽「ディナーレストラン」がマイナス35.7%と、夜の時間帯に営業の重点を置く業態で厳しさが目立ちます。

一方、先月の売り上げは、マイナス15.5%と、前の月の下落幅より7.7ポイント拡大しました。

東京都による営業時間の短縮要請などもあって忘年会需要が落ち込んだことが大きく影響しました。

日本フードサービス協会は「われわれの加盟店は大手が中心のため、飲食店全体では、この結果よりも深刻だと考えている。今月も緊急事態宣言の影響などで、引き続き厳しい見通しだ」としています。

“白物”家電 24年ぶりの高水準

家電の国内出荷額では、ビデオカメラなどデジタル家電が3年ぶりの減少となりましたが、エアコンや冷蔵庫などいわゆる白物家電は2兆5300億円を超え、24年ぶりの高い水準となりました。
〈デジタル家電〉
JEITA=電子情報技術産業協会によりますと、デジタル家電の去年の国内出荷額は前の年より0.5%少ない1兆3267億円で、3年ぶりに減少しました。
新型コロナウイルスの影響で外出を控える動きやテレワークなどが広がったことから、
▽ビデオカメラがマイナス44%余り、
▽ICレコーダーがマイナス29%余りと、大幅な減少となりました。

一方、自宅で過ごす人のいわゆる巣ごもり需要で50インチ以上の薄型テレビはプラス32%余りの増加となりました。

今後の見通しについて、業界団体は「テレビの買い替え需要は当面続くとみられるが、緊急事態宣言がデジタル家電の販売動向にどのような影響を及ぼすのか見極めたい」と話しています。
〈白物家電〉
日本電機工業会によりますと、去年1年間の白物家電の国内出荷額は、前の年より1%増えて2兆5363億円でした。
これは、1996年以来、24年ぶりの高い水準です。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で自宅で過ごす時間が増えいわゆる巣ごもり需要が高まったことや、現金10万円の一律給付が行われたことなどが主な要因とみられます。

出荷額の増加率でみると、
▽空気清浄機がプラス56%余りで最も高かったほか、
▽ホットプレートがプラス40%余り、
▽加湿器がプラス25%などと大きく伸びました。
一方、
▽エアコンは出荷台数が0.6%増え、1972年以降、最も多くなりました。

2度目の緊急事態宣言 店頭では陰りも

しかし、足元では2度目の緊急事態宣言を受けて、店頭での売れ行きが良くないという声も聞かれるということで、業界団体では「今後の動向を注意深く見守りたい」と話しています。