ぼっちのユーチューバー パーカーさん なぜ人気・・・?

ぼっちのユーチューバー パーカーさん なぜ人気・・・?
神戸大学に通うユーチューバー・パーカーさん。
ひとりでご飯を食べたりひとりで旅行したりする様子を淡々と撮影した“ぼっち”動画を投稿しています。
チャンネル登録者は48万8千人です。この数字がどの程度かというと、例えば、オリエンタルラジオの藤森慎吾さんは59万8千人、アメリカ大リーグで活躍するダルビッシュ投手は54万4千人なので、人気ユーチューバーと言ってもよいのではないでしょうか?
(登録者数はいずれも2021年1月20日時点)
なぜ今人気を集めるのか?理由を探りました。

“ぼっちユーチューバー ”パーカーさんいったい何者・・・?

パーカーさんは、ひとりぼっちの日常を投稿する“ぼっちユーチューバー”を自称しています。

たとえば、大学でひとりカップ焼きそばを食べる様子など大学での「ぼっち生活」を記録した動画は244万回再生されています。
(2021年1月20日時点)
他に投稿されているのは、自宅でカメラに向かってひとり淡々と話す動画、ひとりでカフェに行き感想を述べる動画、ひとり旅行を楽しむ動画など・・・。

人気ユーチューバーといえば、派手な仕掛けや演出でときに炎上・・・というイメージも少しあったのですが、そのような動画はありませんでした。

しかしコメント欄にはファンからの応援メッセージが多数寄せられています。

さらにパーカーさんはひとりで過ごす日々の暮らしをつづったエッセイ集も出版。

こちらもなんと4万部というヒットになっているようです。
しかし正直、私(ディレクター)にはパーカーさんの動画が人気を集める理由がよく分かりませんでした。

彼はなぜ多くの人をひきつけるのか?その秘密を探りたいと、連絡を取ってみたところ、取材に応じてくれました。

ぼっちの動画で人気のユーチューバー パーカーさんに同行取材

まず、私はパーカーさんの動画制作に同行してみることにしました。

日常生活をそのまま届けたいと、パーカーさんは部屋を片づけず、起床直後から撮影を始めました。
パーカーさん
「自分では何か顔洗って歯を磨いているとか朝起きることの一つとしてカメラを回すみたいな感じのノリでやってます。何かありのままの生活をお届けできるかなと思ってやってますね」
移動中もひとりで話しながら動画を撮影します。

周囲に人がいても気にする様子はありません。
パーカーさん
「不審者みたいでヤバいなと思ったんですけどもう慣れちゃいました。知らない誰かから見られてもいいかなって思います。失うものは無いなっていう」
12時、行きつけのカフェに到着。

お気に入りの煎茶ラテを注文しひとりで堪能する様子を撮影しました。

周囲や店に迷惑をかけたくないと、店内での撮影は最小限にとどめているそうです。

その後、大学の図書館に寄り、本を借りる様子を撮影。

ちなみに本は、アルバイト先の塾で教える数学の参考書でした。

夕方、帰宅したパーカーさんは夕食の準備を撮影します。

冷凍うどんに卵を足したものと、コンビニのサラダにカニかまぼこをのせたお手軽メニューです。

調理にかかった時間は10分もかかっていませんでした。
パーカーさん「きょうのごはんが完成しました。サラダとうどんです」

その後、編集にとりかかりました。

作業はパソコンを使い、自分で行っていきます。

まるまる1日かけて撮影した映像を5分程度にまとめ、ナレーションもみずから吹き込みます。

派手な効果音などの演出は行わず、作りはシンプルです。

撮影から編集まで一連の流れに同行しましたが、何が人気の理由なのかこの段階では分かりませんでした。

“ぼっち動画”人気の理由 ファンに直接聞いてみると・・・

しかしこの動画を公開すると、再生回数を示すカウンターは急上昇。

わずか2時間で6万回を超えました。

視聴者は動画のどこに魅力を感じているのか?失礼を承知で、6000人以上が視聴している「生配信」の場でパーカーさんから直接聞いてもらいました。

パーカーさん
「自分で言うのも何ですけど僕の動画のどこが面白いのか?」
すぐに多くのコメントが寄せられました。
生配信で寄せられた声
「ぼっちでいいんだと勇気をもらいました。パーカーくんを知ってから他の人に合わせる生活をやめました」
「ひとりの時間を楽しんでいるパーカーさんの経験談や考え方がつい周りの目を気にしてしまう自分にとって救いになりました」

SNSの発達などで、いつでもどこでも人とつながれるようになった現代社会。

その分、人間関係に悩む人も多くなっているのかもしれません。
パーカーさん
「僕のいちばんやりたかったことがめちゃ伝わってたようで、なんかめっちゃうれしいです」
パーカーさんのファンの大学生に直接話を聞くこともできました。

大学1年生の三島さんです。

三島さんがパーカーさんの存在を知ったのは高校3年生のとき。

大学生の生活を知りたいと受験勉強の息抜きにユーチューブで「大学生」と検索したのがきっかけでした。

その後、三島さんは兵庫県の大学に進学。

地元の愛知県を離れ一人暮らしを始めました。

しかし、新型コロナの影響で大学に通うことができず、さらに地元を離れていたことから誰とも交流できない日々が続きました。

そんなとき励みになったのがパーカーさんの動画だったといいます。
三島さん
「入学時からずっとオンライン授業で、大学の友達ができませんでしたが、そんな時期にぼっちでも良いかなと思わせてくれたのはパーカーくんでした。現時点で見習おうとは思わないが、もしぼっちになったとしても肯定的に捉えることができると思う」
孤独を恐れず、堂々と「ぼっち」を楽しむパーカーさんの姿。

そこに多くの人が共感していました。

「個人を大切にする“孤独”という考え方もあるのでは」

取材を進めると、「そもそも日本人は孤独をネガティブに捉えすぎなのではないか」と指摘する専門家もいることがわかりました。
立命館大学大学院先端総合学術研究科 千葉雅也教授
「やっぱり日本はすごく同調圧力が強いとか集団主義が強いとかやっぱり周りの空気を読んで合わせて自分を抑えてというのはそういうカルチャーが強いじゃないですか。孤独っていうのはそういう個人を大切にするという意味での集団主義に距離を取るという意味でとれば悪いものじゃないと思うんですよ。助けてくれる人がいないとかの否定的な意味での“孤立”とは違うものとして“個人を大事にする孤独”というのを別に考えられるかなと思いますね」

取材後記

子どものころ“友達100人できるかな”と言われたり、自分たちでグループを作って発表したり・・・。

大学時代も学生食堂でひとり食事をする“ぼっち飯”に抵抗があるなど、なんとなく孤独は恥ずかしいと思ってきました。
しかし今回パーカーさんを取材し、堂々と楽しんでいる姿を目の前にして、彼は心の底から“ぼっち”を愛している、“ポジティブなぼっち”だということが分かりました。

他者とのディスタンスが求められるようになり、必然的にひとりでいる時間が増えています。

パーカーさんのように1人を楽しむ力も育んでいきたいと思った取材でした。
大阪放送局報道部
ディレクター
佐々木祐輔
平成31年入局
報道局おはよう日本を経て現所属