「変異ウイルス死亡リスク高い可能性も」 英政府 分析結果公表

イギリス政府は、変異した新型コロナウイルスについて、従来のウイルスよりも死亡するリスクが高い可能性があるという初期の分析結果を公表しました。ただ、今の時点ではデータには不確実な点が多く、さらなる調査が必要だとしています。

イギリスでは感染力が強いとされる変異した新型コロナウイルスの感染拡大が深刻で、連日、1000人を超える人の死亡が報告されています。

22日、記者会見したジョンソン首相は変異ウイルスについて「死亡率を高めることに関与しているかもしれないという報告を受けた」と述べ、従来のウイルスよりも死亡するリスクが高い可能性があるという分析結果を明らかにしました。

会見に同席したバランス首席科学顧問は、感染者のデータを分析した結果として、60代の1000人が感染したと仮定した場合、従来のウイルスでは死者はおよそ10人であるのに対し、変異ウイルスでは13人から14人になる可能性があると説明しました。

ただ、分析は初期のもので今の時点ではデータには不確実な点も多く、さらなる調査が必要だとしています。

一方で、現在、接種が進められているワクチンについては、変異ウイルスにも有効だとしています。

WHO「現時点では死亡リスクが高まる傾向みられない」

イギリス政府の発表について、WHOで新型ウイルス対応の技術責任者を務めるバンケルコフ氏は22日の定例の記者会見で、発表の詳細は把握していないとしたうえで「感染者の増加で入院患者が増えて医療機関の負担が増すことで、医者や看護師が患者の対応をしきれず死者が増えることはありうる」と述べました。

また危機対応を統括するライアン氏も「今の時点で変異ウイルスのほうが従来のウイルスよりも死亡するリスクが高まるという傾向はみられない。より多くの人が感染した場合、より多くの人が亡くなるということだ」と述べました。