露 ワクチン EU加盟国に供給と誇示 国民には不十分との批判も

ロシアは新型コロナウイルスの自国製ワクチンについて、EU=ヨーロッパ連合の加盟国にも供給を始めると誇示しましたが、地元メディアは肝心の国民には十分に行き届いていないと批判的に伝えています。

ロシア製の新型コロナウイルスのワクチン「スプートニクV」の開発に携わった政府系ファンドのドミトリエフ総裁は21日、オンラインで記者会見を開き、EUの加盟国としては初めてハンガリーへのワクチンの供給を始めると誇示しました。

そのうえで、インドやメキシコなどでもワクチンが使用されることに期待を示し「世界で最も広く認識されるワクチンの1つになることを望む」と述べ各国への売り込みに力を入れる姿勢を示しました。

ワクチンをめぐってはロシア国内でも今月18日からすべての国民を対象に接種が始まっていますが、地元メディアは首都のモスクワ以外ではワクチンが十分に行き届いていないと批判的に伝えています。

この中では「アルゼンチンに30万回分のワクチンが供給されたのに同じ量のワクチンを求めていたサンクトペテルブルクには届いていない」とか「一部の地域では、ワクチンの不足で接種が中断されている」などと報じています。

プーチン政権は「ワクチンの接種は国民が優先されるべき」と繰り返し強調していますが、ワクチンの海外向けの供給を拡大することで国際社会での存在感を高めたい思惑もあるとみられています。