緊急事態宣言 首都圏の終電 最大30分程度繰り上げ開始

首都圏の鉄道の終電は、新型コロナウイルスの緊急事態宣言に伴い、最大で30分程度繰り上げられました。

JR東日本や東京メトロ、大手私鉄など首都圏の25の鉄道事業者は、国と東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県からの要請を受けて、最大で30分程度終電を繰り上げました。

JR東日本では山手線や中央線など11の路線が対象で、池袋駅の山手線の終電の出発時刻は外回りが14分早い0時26分に、内回りが28分早い0時23分になりました。

終電近くの乗客はまばらで、列車を降りた人たちは足早に乗り換えの改札口に向かっていました。

仕事を終えて品川駅に向かおうとしたものの、終電を逃した40代の男性は「終電の繰り上げはわかっていましたがダメでした。タクシーを使って何とか帰ります」と話していました。

池袋がターミナルの西武池袋線や東武東上線も終電が早まっていて、池袋駅周辺を歩く人はほとんどいませんでした。

タクシーの運転手の60代の男性は「以前は終電のあとも人が出ていましたが、最近はほとんどいません。東京をパトロールしているような状態で仕事になりません」と話していました。

ホテル 深夜チェックインの新プラン

東京の大手ホテルは、終電を逃した人などの需要を見込んで、深夜でもチェックインできる新たなプランを始めました。

このプランは大手ホテルチェーンの「プリンスホテル」が、都内の8つのホテルで今月15日から始めました。

24時間いつでもチェックインして最大で10時間滞在することができ、料金は通常の宿泊より原則安く設定されています。

ホテルでは、終電を逃して帰宅が難しくなった人やテレワークで利用する人の需要を見込んでいて、客室には替えのマスクや除菌シートを準備し、感染対策にも配慮したとしています。

プリンスホテルの林佳代統括支配人は「終電繰り上げやテレワークなどにより行動が多様化している。安全安心を最優先に、新しいニーズに対応したプランを提供していきたい」と話していました。

シェアサイクル会社 拠点や自転車の増加も検討

通勤客の利用が多いシェアサイクルの会社では、首都圏の終電繰り上げにより自転車通勤を選ぶ人が増えるとみて、事業の拡大を積極的に検討するとしています。

スマホのアプリを使って24時間自転車を使うことができるシェアサイクルの会社「オープンストリート」は、首都圏におよそ2500か所の拠点があり、以前は駅と職場の間などの短距離の利用が中心でした。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大のあとは自宅と職場の間といった中長距離の利用が増え、通勤時間帯の利用者は感染拡大前のおよそ1.5倍になったということです。

会社では、終電の繰り上げにより、鉄道の運行時間に縛られない自転車通勤を選ぶ人がさらに増えるとみて、拠点や自転車の数を増やすことを検討するとしています。

オープンストリートの工藤智彰CFO=最高財務責任者は「緊急事態宣言の中でも移動する必要がある医療従事者の方などのために、積極的に自転車を配備していきたい」と話していました。