電通グループ 「電通本社ビル」の売却を検討

大手広告会社の電通グループは、東京・港区にある本社ビルの売却を検討していることを明らかにしました。新型コロナウイルスの影響で社員のテレワークが進む中、オフィスの利用方法を見直すとともに、売却によって得た資金を事業構造改革などにあてるねらいです。

電通によりますと、東京・港区にある本社ビルには、グループの社員およそ9000人が勤務していますが、テレワークの導入でこのところ出社率が2割以下にとどまり、使われていないスペースが出ているということです。

このため、オフィスの利用方法を抜本的に見直すことにし、本社ビルの売却の検討を始めたということです。

ただ、本社ビルを売却したあともビルをオフィスとして借りる方針で、本社の移転は考えていないとしています。

電通は、新型コロナウイルスの感染拡大で広告費が減るなどしたため、2年連続で最終赤字となる見通しで、売却で得られた資金を事業構造改革などにあてるねらいもあります。

「電通本社ビル」は、東京港区のJR新橋駅に近い地上48階の高層ビルで、帳簿上の価格は1800億円余りですが、売却価格はこれを上回る水準になるとみられます。

企業による不動産の売却は、新型コロナウイルスの影響で業績が悪化した大手音楽会社の「エイベックス」が、東京・南青山にある本社ビルの売却を決めています。

テレワークが定着し、都心に大型のオフィスを所有する必要性が薄れていることも背景にあり、今後、企業の間で都心部のオフィスの売却や利用方法を見直す動きが広がる可能性もあります。