コロナ対応「初期段階でいくつもの重大失敗犯した」WHO独立委

新型コロナウイルスについて、WHO=世界保健機関や各国の対応を検証している独立委員会は「国際社会や各国は初期の段階でいくつもの重大な失敗を犯した」と指摘し名指しはしなかったものの、中国をはじめ各国とWHOの対応に、問題があったという認識を示しました。
そのうえで、パンデミックへの対応には、WHOの改革が必要だと指摘しました。

WHOが設置した独立委員会は、WHOや各国の対応を検証し、今後の感染症対策への教訓を得るために設置され、去年9月から活動しています。

独立委員会は、先に公表した中間報告で、感染拡大の初期段階で中国の対応に遅れがあったと指摘したうえで、WHOが「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言を去年の1月30日まで出さなかったことを疑問視し、ほとんどの国が宣言の出された後も必要な措置をとらなかったと指摘しました。

委員会の共同議長を務めるニュージーランドのクラーク元首相らは19日、WHOの執行理事会で「報告書は新型コロナウイルスへの対応で国際社会や各国が初期の段階で犯したいくつもの重大な失敗を特定している」と述べ、名指しはしなかったものの、中国をはじめ各国とWHOの対応に問題があったと強調しました。

また、同じく共同議長を務めるリベリアのサーリーフ前大統領は「加盟国は、WHOに指導力を期待しているがWHOが仕事をするのに必要な権限や資源を与えていない」と述べ、パンデミックへの対応を強化するためには、資金不足の解消などWHOの改革が欠かせないという認識を示しました。

独立委員会は、各国の指摘なども踏まえてことし5月のWHO総会に最終報告を提出する予定です。

WHO独立委員会とは

中間報告をまとめた独立委員会は、新型コロナウイルスへのWHOや各国の対応を検証し、今後の感染症対策への教訓を得るため、設置されました。共同議長は、UNDP=国連開発計画の総裁を務めたニュージーランドのクラーク元首相と、ノーベル平和賞を受賞したリベリアのサーリーフ前大統領が務めているほか、感染症や保健衛生などの専門家合わせて13人から構成され、去年9月から活動しています。

中国「感染状況をWHOに直ちに伝えた」と反論

WHOの執行委員会では中国政府の代表が発言し、中間報告について「中国は感染状況をWHOに直ちに伝え、ウイルスの遺伝子配列をできるだけ早い段階で共有し、最も包括的で厳しい感染対策をとった」と反論しました。

そのうえで「中国以外の4か国で7例しか報告されていなかった去年の1月23日に、中国は武漢の公共交通機関の規制を発表し、人口1000万を超える武漢を止めた。決して軽くないきぜんとした決断だった」と主張しました。

加藤官房長官「初期対応の検証より取り組みに全力」

加藤官房長官は午前の記者会見で「現状では緊急事態宣言が発出されておりこれ以上の感染拡大を食い止め減少傾向に転じていけるよう、自治体と国民の協力を得ながら集中的に取り組んでいくことが大事だ。現時点では初期対応の検証を行うよりはそうした取り組みに全力を傾けていきたい」と述べました。

そのうえで「現在、特別措置法と感染症法の改正案を通常国会にできるだけ早期に提出すべく準備を進めており、当面やらなければならないことをしっかり取り組んでいきたい」と述べました。