変異ウイルスへの効果や安全性などワクチン情報更新 厚労省

新型コロナウイルスのワクチンについて、厚生労働省は、変異ウイルスへの効果など有効性や安全性に関する最新の情報を新たにホームページで公開しました。

新型コロナウイルスのワクチンについて、厚生労働省は来月下旬以降、医療従事者から順次、接種できるよう準備を進めていて、有効性などに関する最新の情報を18日、ホームページに掲載しました。

このうち、イギリスなどで見つかっている変異したウイルスへの効果については「一般的にウイルスは絶えず変異するもので、小さな変異でワクチンの効果がなくなるものではない」としています。

また、国内で唯一、承認申請が行われているファイザーなどのワクチンについては「変異ウイルスにも作用する抗体がつくられたという実験結果が発表されている」としたうえで、日本の審査でも変異ウイルスに関する情報を収集しつつ、適切に有効性や安全性を確認するとしています。

このほか、海外で接種した人に確認された症状や、日本で健康被害が起きた場合の救済措置なども詳しく紹介しています。

厚生労働省は「ワクチンには発症や重症化を予防する効果だけでなく副反応もあり、接種するうえではどちらも重要な情報だ。国民が納得して接種の判断をしてもらえるよう情報提供に努めたい」としています。

接種の目的「社会全体で流行防ぐ期待」

ワクチンは感染症に対する免疫をつけたり、免疫を強めるために接種され、個人の発症や重症化を予防するだけでなく、社会全体で流行するのを防ぐことが期待されます。

厚生労働省によりますと、新型コロナウイルスのワクチンについても、▽重症化や、▽発熱などの症状が出るのを防ぐ効果があることが海外の治験で明らかになっているということです。

多くの人が接種を受けることで重症者や死亡者を減らすことができれば、医療機関の負担を軽くすることも期待できます。

厚生労働省は2月下旬から医療従事者などに最初の接種を始められるよう準備を進めています。

集団免疫とは

ウイルスや細菌などに対し、人口の一定以上の割合が免疫をもつと、感染者が出てもほかの人への感染が減って流行しなくなる「集団免疫」という状態になります。

一方、感染症の種類によって集団免疫に必要なワクチン接種の割合は異なります。

また、ワクチンによっては重症化を防ぐ効果があっても感染を防ぐ効果に乏しく、多くの人が接種しても集団免疫の効果が得られないこともあるということです。

新型コロナウイルスのワクチンについては、集団免疫の効果が得られるかはわかっていないとしています。

新型コロナワクチンの効果

国内外で複数の新型コロナウイルスのワクチンの開発が進められていますが、治験や海外での接種が始まって間もないことから、効果が持続する期間は明らかになっていません。

厚生労働省は、変異した新型コロナウイルスに対しても効果があるのかについて、「一般的にウイルスは絶えず変異するもので小さな変異でワクチンの効果がなくなるものではない」としています。

ファイザーなどのワクチンでは変異ウイルスにも作用する抗体がつくられたという実験結果が発表されているということで、日本での審査では、変異ウイルスに関する情報も含め適切に有効性や安全性を確認するとしています。

副反応疑われる事例 専門家が評価し情報提供

ワクチンを接種すると体内に異物が入るため、接種した部位の腫れや痛み、発熱、頭痛などの副反応が起きることがあります。

治療が必要になったり、障害が残ったりするほど症状が重いケースは極めてまれですが、副反応が起きるリスクをゼロにすることはできないということです。

日本への供給が計画されているワクチンについても、これまでの治験で接種した部位の痛みや、頭痛、けん怠感、筋肉痛などが確認されたと論文などで発表されています。

こうした中、厚生労働省は、どのような副反応が起きるリスクがあるかを国内外のデータを用いて確認する方針です。

承認されて接種が始まった場合も、副反応が疑われる事例を集めて専門家が評価する体制をつくり、情報提供に努めるとしています。

副反応の救済制度

国は副反応に関する救済制度も設けています。

健康被害が生じた場合、予防接種法にもとづいて医療費や障害年金の給付といった救済が受けられ、新型コロナウイルスのワクチンを受けた人も対象となります。

優先順位 重症化リスク高い人などから

ワクチンの供給量が限られているため、厚生労働省は重症化リスクの高い人などから接種を始める方針です。

具体的には医療従事者などや高齢者、それに基礎疾患がある人や介護施設などの職員から優先的に接種が行われます。

妊娠中の女性にも優先接種を行うかや、子どもを接種の対象にするかについては安全性や有効性の情報を踏まえて検討するということです。

厚生労働省は、「ワクチンには発症や重症化を予防する効果だけでなく副反応もあり、接種する上ではどちらも重要な情報だ。国民が納得して接種の判断をしてもらえるよう情報提供に努めたい」としています。