「4月上旬までにすべての国で接種開始を」WHOテドロス事務局長

WHO=世界保健機関のテドロス事務局長は、新型コロナウイルスのワクチンが所得の低い国に行き渡らないことに強い懸念を示し、4月上旬までにすべての国で、医療従事者と高齢者が接種を始められるよう各国が協力すべきだと訴えました。

WHOのテドロス事務局長は18日、オンライン形式で始まった執行理事会で、新型コロナウイルスのワクチンについて、所得の高い国ではこれまでに合わせて3900万回分余りが接種された一方、最も所得の低い国ではわずか25回分しか入手できていないと明らかにしました。

WHOなどは、途上国を含め世界各国にワクチンを分配するための枠組みを設けていますが、テドロス事務局長は、一部の国が枠組みの外で製薬会社と独自に契約を結んでいることでワクチンの価格がつり上がっていると指摘しました。

そのうえで「世界は壊滅的な倫理上の失敗を犯す寸前だ。代償となるのは貧しい国の人々の命や暮らしだ」として、ワクチンが公平に行き渡らないことに強い懸念を示しました。

さらに「所得の高い国の若く健康な成人が、貧しい国の医療従事者や高齢者よりも先にワクチンを接種するのは正しくない」と述べ、国際的な分配の枠組みにワクチンを提供し、4月上旬までにすべての国で、医療従事者と高齢者が接種を始められるよう協力すべきだと各国に訴えました。