菅首相“予算案や法案成立に全力” 通常国会 召集

通常国会が18日召集され、菅総理大臣は、新型コロナウイルス対策や政権が掲げる政策を実現するため、予算案や法案の成立に全力をあげる考えを示しました。一方、立憲民主党の枝野代表は、菅内閣では命と暮らしを守れないと批判し、政治の転換を目指す考えを示しました。

第204通常国会は18日召集され、午前10時から開かれた参議院本会議で、特別委員会の設置などの手続きが行われました。

午後1時から、天皇陛下をお迎えして開会式が行われた後、衆参両院の本会議で菅総理大臣の就任後初めてとなる施政方針演説など政府4演説が行われます。
これに先立って菅総理大臣は、総理大臣官邸で記者団に対し「就任から4か月がたち、新型コロナウイルスの感染対策や、グリーンやデジタルといった課題を実現するため全力で取り組んできた。通常国会にはこうした政策を実現するための予算案や法案を提案するので、しっかり説明して国民の理解をいただきたい」と述べました。

政府・与党は、緊急事態宣言が続く中、感染拡大を抑制したうえで、経済の立て直しを図るため、今年度の第3次補正予算案や、対策の実効性を高めるための特別措置法の改正案を早期に成立させ、新年度予算案の年度内成立を目指す方針です。
一方、立憲民主党の枝野代表は、党の参議院議員総会で「この1か月半の間に、心配していた以上に感染が拡大し、菅内閣は慌てふためき、うろたえている。これでは命と暮らしは守れない。われわれがしっかりすることで、命と暮らしを守る政治をこの国会で作り上げていこう」と呼びかけました。

野党側は、緊急事態宣言の発出や水際対策など、政府の対応が後手に回り、事態を悪化させているとただすとともに、「桜を見る会」の前日夜の懇親会をめぐる問題や、吉川 元農林水産大臣が収賄の罪で在宅起訴された事件についても政府・与党の責任を追及する方針です。

通常国会の会期は6月16日までの150日間で、秋までに実施される衆議院選挙もにらんで、激しい論戦が展開される見通しです。

菅首相 ビデオメッセージ「一丸となって国民の安心・安全を」

自民党は、新型コロナウイルスの感染を予防するため、国会の召集日に開いている両院議員総会を中止し、菅総理大臣は18日午前、党所属の国会議員に向けてビデオメッセージを配信しました。

この中で、菅総理大臣は「11の都府県に緊急事態宣言が発出され、多くの国民が不安と我慢の中にある。まずは現在の感染拡大を1日も早く収束させることに政府・与党の総力を挙げなければならない。今こそ、一丸となって、国民の安心・安全を確かなものとし、日本の未来を切りひらくために力を尽くしていこう」と呼びかけました。

そのうえで「この国会では、自民党は国民の負託に応え、断固、責任ある政権与党として結果を出していかなければならない。私自身、先頭に立って、安心を取り戻し、希望を実現するため、この国会を戦い抜く決意だ」と強調しました。

一方、菅総理大臣は、憲法改正について「われわれの党是でもある憲法改正の議論も前に進めなければならない」と述べました。

加藤官房長官「予算案など早期成立へ対応図っていきたい」

加藤官房長官は、記者会見で「新型コロナウイルス対策の特別措置法と感染症法は、相互に連携しているので、合わせて検討を急ぎ、与野党の意見も伺いながら、改正案をできるだけ早期に提出したい」と述べました。

そのうえで「今年度の第3次補正予算案や来年度予算案、デジタル庁の設置や35人学級のための法案など、国民生活に直結する予算案や法案の審議をお願いすることになる。早期成立に向けて、しっかりとした対応を図っていきたい」と述べました。

一方、記者団から、政治とカネをめぐる問題への対応を問われたのに対し「一般論として、政治資金の問題は、政党活動の自由と密接に関係しており、まず、各党各会派で議論すべきものと考えている。政治家にとって、何よりも国民の信頼が不可欠なので、信頼をしっかりと確保していく立場に立って、今後とも臨んでいきたい」と述べました。

公明 山口代表「国民の政治不信 襟を正す姿勢が重要」

公明党の山口代表は、党の参議院議員総会で「緊急事態宣言が出されて1週間が経過したが、感染が収まる傾向は見えておらず、極めて厳しい現実に直面している。これからどうすればよいかを、代表質問などを通じて国民に伝わるよう展開していきたい」と述べました。

そのうえで「政治とカネの問題をめぐって、国民の政治不信も渦巻いている。襟を正す姿勢が重要であり、信頼回復のために真摯(しんし)に取り組んでいかなければならない。衆議院選挙をにらみながら、追い風をつくれるように結束していこう」と呼びかけました。

維新 片山共同代表「大変盛りだくさんの国会に」

日本維新の会の片山共同代表は、党の参議院議員総会で「今年度の第3次補正予算案や新型コロナウイルス対策の特別措置法の改正の審議など、大変盛りだくさんの国会になる。新型コロナウイルスが猛威をふるっているが、ことしは遠からず衆議院選挙があるので、結束して対応にあたっていただきたい」と述べました。

共産 志位委員長「感染急拡大 菅政権の無為無策 責任ただす」

共産党の志位委員長は、党の議員団総会で「感染の急拡大は、菅政権の無為無策の結果で、その責任をただしていくと同時に、命と暮らしの危機を打開するため、積極的に提案を示し、政府に実現を迫っていく。また、政治とカネの問題や、日本学術会議の人事介入の問題なども決して手を緩めず、厳しく追及していく」と述べました。

国民 玉木代表「政府の対応は後手後手」

国民民主党の玉木代表は、党の両院議員総会で「何よりも国民の命と健康、そして雇用と生活を守る国会にしていかなければならない。政府の対応は後手後手と言わざるをえず、国民民主党は先手先手で取り組んでいく党だという思いを共有し、臨んでいきたい。また、常在戦場で衆議院選挙を意識した国会になると思うので、心を合わせて頑張っていきたい」と述べました。

議員はマスク着用 手の消毒も

18日召集された通常国会では、去年に続いて、与野党の申し合わせで新型コロナウイルスの感染を予防するための措置がとられることになっています。

具体的には、各議員は国会内に入る際は、マスクを着用し、手の消毒を行うこととしています。

そして、本会議場で密集した状態になるのを避けるため、衆議院では、本会議で質疑が行われている際は、半数程度の議員が議場から出て、別の場所で質疑の様子を見守り、採決を行う時は、すべての議員が出席するようにしています。

また、参議院本会議では、原則、1席ずつ間隔を空けて座るようにしています。

一方、委員会での対策は、それぞれの委員会で与野党が協議して決めることになっていますが、先週、行われた衆議院内閣委員会の閉会中審査では、質問者と答弁者の間に透明の板を設置して質疑が行われました。