中国GDP 前年比+2.3% プラス成長主要国で唯一か

中国の去年のGDP=国内総生産の伸び率は、前の年と比べてプラス2.3%でした。新型コロナウイルスの感染拡大で世界経済が大きな打撃を受ける中、主要な国の中では、唯一、プラス成長を保ったとみられています。

中国の国家統計局が18日発表した去年10月から先月までの3か月間のGDPの伸び率は、前の年の同じ時期と比べてプラス6.5%でした。

この結果、去年1年間でみますと、GDPの伸び率は前の年と比べてプラス2.3%となりました。

中国経済は、新型コロナウイルスの感染拡大で去年1月から3月までの3か月間に四半期として初めてマイナス成長に陥りました。

その後は、感染拡大をいち早く抑え込んだとして経済活動の再開を進め、政府の景気対策を受けたインフラ投資の拡大や、基幹産業の自動車の市場回復がGDPを押し上げました。

感染拡大によって世界経済が大きな打撃を受ける中、IMF=国際通貨基金などの見通しによりますと、中国は主要な国の中では、唯一、プラス成長を保ったとみられています。

一方で、GDPの伸び率は、3年連続で前の年を下回り、マイナス成長だった1976年以来、44年ぶりの低水準でした。

このところは景気対策の反動で不動産市場の過熱などが指摘されているほか、新型コロナウイルスの感染者も再び増えていて、安定した経済成長を続けるには課題も残されています。

国家統計局長 成果強調 “コロナで不確実性も”

去年のGDPの伸び率がプラスになったことについて、国家統計局の寧吉※テツ局長は記者会見で「新型コロナウイルスの感染拡大など、国内外の厳しい環境によって、去年は歴史的にみて大変な年となったが、中国経済は大きな成果をあげることができた」と述べました。

一方、一部の地域で新型コロナウイルスの感染者が再び増加していることについては「全体的には経済への影響はコントロールできるが、先月の個人消費に影響が出るなど、経済の持続的な回復に一部、不確実性をもたらしている」と述べました。

※テツは「吉吉(吉が2つ)」

いち早く企業活動を再開

新型コロナウイルスの影響で打撃を受けた中国経済ですが、感染拡大を抑え込んだとする政府の方針のもと、いち早く企業活動を再開してきました。

製造業が集積する南部広東省の仏山に拠点を置く中国の大手家電メーカー「ギャランツ」は、感染拡大の影響で一時操業を停止したものの、地元政府から補助金も受けて、去年2月には生産を再開しました。

その後は、いわゆる「巣ごもり需要」の高まりで電子レンジや食器洗い機などを中心に販売が伸び、去年1年間の売り上げは、おととしに比べて4倍近くに急増し、過去最高を記録したということです。

さらに、感染拡大を受けて、利用が広がっているネット通販に力を入れていて、「ライブコマース」と呼ばれる中継販売用のスタジオを工場内に新設し、国によって異なるさまざまなタイプのキッチンをそろえて家電製品の実演販売を行っています。

また、巣ごもり需要の拡大を背景に海外メーカーからの電子レンジなどの受託生産も好調なことから、およそ100億人民元、日本円にして1600億円を投じて、生産ラインの拡張や研究開発拠点の新設を進めています。

「ギャランツ」の梁恵強副会長は「国内市場に加え、新興国での家電の需要もさらに増えるので、ことしも積極的な設備投資と新製品開発を進めたい」と話しています。

新車販売が持ち直し

中国経済の回復を大きく支えたのが世界最大の自動車市場、中国における新車販売の持ち直しです。

新型コロナウイルスの影響で当初は大きく落ち込んだものの、その後は地方政府の補助金の効果などもあって、新車販売は去年4月以降、9か月連続で前の年の同じ月を上回り、とくに電気自動車などの新エネルギー車の販売は過去最高となりました。

中国南部の広州にある自動車販売店では、去年1年間に販売した電気自動車の台数が前の年に比べて、2割余り増えたということです。

販売店の担当者によりますと、商用車の電動化を促す地元政府の政策で、タクシー会社を中心に買い替えが進んだことや、新型コロナウイルスの影響で失業し、新たに配車サービスを始めた人たちがガソリン車よりも走行する際のコストが低いとして、電気自動車を購入したことなどが理由だとしています。

販売担当者は、「ことしも電気自動車などの販売増加を見込んでいる。政府の補助金は減額されるが、メーカーが減額分をカバーする方針で、今のところ、店頭での販売価格への影響はない」と話していました。