「しあわせ運べるように」作詞作曲の教諭が最後の指揮 神戸

阪神・淡路大震災からの復興と犠牲者の鎮魂を願って作られ、長年、歌い継がれてきた「しあわせ運べるように」を作詞作曲した音楽教諭が、初めて曲を披露した思い出の場所で、「1月17日」としては最後の指揮を執りました。

神戸市内の小学校に勤める音楽教諭の臼井真さんはl、26年前の地震で自宅が全壊し、教え子も亡くしました。

そのつらい体験をもとに、地震からおよそ2週間後、のちに震災復興と希望の歌と呼ばれる「しあわせ運べるように」を作詞作曲しました。

臼井さんは、この歌を毎年1月17日に子どもたちと歌ってきましたが、この春で定年退職を迎えるため、震災の日に教え子たちと歌うのは17日が最後となります。

神戸市内の旧吾妻小学校には臼井さんが勤める小学校の児童およそ50人が集まり、消毒や十分な間隔を開けるなど感染対策を行ったうえで合唱しました。

この小学校は、臼井さんが被災した当時に勤務していた小学校で、震災からおよそ1か月後に初めて歌を披露した場所でもあります。

寒空の下、臼井さんは両腕を大きく振ったり、手話を交えたりしながら子どもたちを指揮していました。

臼井さんは「新型コロナの影響で練習もなかなかできませんでしたが、最後にこの場所で歌えたことは忘れられない思い出になった。定年後は全国に歌の経緯を伝え、被災地に思いを寄せて全国の子どもたちと歌っていけたらと思っています」と話していました。