あす「大学入学共通テスト」 コロナ禍での受験 注意点は?

ことし初めて実施され、53万人余りが出願している「大学入学共通テスト」が16日から始まります。緊急事態宣言も出される中での試験。当日の注意点、もし濃厚接触者になったらどう対応すればいいか、詳しくまとめました。

およそ30年続いたセンター試験に代わって初めて実施される大学入学共通テストは、16日と17日の2日間と、今月30日と31日の2日間の2回の日程で本試験が行われ、感染などで受験できない人のためにそれぞれに追試験が設けられています。

全国681か所の会場で53万人余りが受験する予定です。

当日の注意点

感染が拡大し、緊急事態宣言も出される中で始まる大学入学共通テスト。

大学入試センターは受験生に感染防止への注意を呼びかけています。

試験当日は、1、2週間ほど前から体温を測定した結果を記した「健康観察記録」を持参すること、体調が万全でない時は無理をせず追試験の申請をすること、会場に到着後に発熱などの症状が出たり試験中に明らかに激しいせきが続いたりした場合は、追試験の申請をしてもらうこともあるとしています。

そのうえで、会場内では常にマスクを正しく着用することを求めていて、フェイスシールドやマウスシールドのみでは受験できないとしています。

休憩時間や昼食の際は会話を極力控え、入退場のたびに会場に備え付けられたアルコールで消毒を行ってほしいとしています。

マスクの絵柄や文字は

また、大学入試センターではホームページにQ&Aを掲載して使用するマスクについても注意点を示しています。

この中では、手作りマスクは口と鼻がしっかり覆われ、顔に密着して清潔なものであれば、着用しても差し支えないとしています。

一方で、英文字や地図などがプリントされているマスクは着用しないよう求めていて、もしつけていた場合は会場で用意されている予備のマスクの着用を求められることがあるとしています。

ただしQ&Aには記載されていませんが、NHKが大学入試センターに確認したところ「市販のマスクに記載されている英文字のメーカー名やロゴについては問題なく、会場で着用できる」という回答でした。

濃厚接触者になった場合は?

大学入試センターは保健所から濃厚接触者とされた受験生について、4つの要件を満たした場合に限って受験することを認めています。

具体的には、保健所が実施するPCR検査や検疫所の抗原検査で陰性であること、受験当日も無症状であること、電車やタクシーなど公共交通機関を利用せず人が密集する場所を避けて試験場に行くこと、別室で受験することが求められています。
大学入試センターは、保健所の指定ではなく、受験生が自主的に一般のクリニックなどで検査を受けた場合は受験要件を満たさないとしています。

このほか、試験当日になっても保健所から濃厚接触者かどうかの確認が続いている場合は、無症状であれば受験できるとしています。

体調に不安あれば無理せず追試験を

今回の共通テストでは、感染拡大の影響で本試験が2回行われ、今月16日と17日、第2日程は今月30日と31日となっています。

これは第1日程の追試験も兼ねています。

また第2日程の特例の追試験は2月13日と14日となっています。

センターでは体調に不安がある受験生は無理をせずに追試験を受けてほしいとしています。

その際、追試験の申し込みには本来は診断書が必要になりますが、熱の症状があっても「発熱相談センター」から医療機関を受診せずに自宅待機するよう求められた場合などは、診断書がなくても受験できる場合があるとして、会場となっている大学などに相談するよう呼びかけています。

会場でも新型コロナ対策

前日の15日は各地の会場で最終的な準備が行われました。

このうち緊急事態宣言が出されている東京・渋谷区の青山学院大学では、職員が受験生の座る席に1メートルほど間隔を空けながら受験番号を貼っていました。
密集を防ぐためにアルコール消毒液を複数置き、エレベーターではなくエスカレーターを使うよう案内表示を準備したほか、せきの症状や腹痛などの体調不良を訴えた受験生用に、会場とは別の棟に医師と看護師の待機室を設けてベッドを準備するなど、例年にない対応がとられていました。
青山学院大学入試課の鈴木博貴 課長は「受験生は初めての共通テストへの緊張や、コロナ禍で心配もあると思うが最大限集中してもらうための環境作りをしてきた。あす、あさっては社会全体で受験生を温かく見守ってもらいたい」と話していました。

「共通テスト」導入の経緯

31年続いた大学入試センター試験に代わって新たに実施される「大学入学共通テスト」は、グローバル化やAIなどの技術革新が進み、激変する「答えのない時代」を生き抜く力につなげたいと、大学入試改革の議論の中で導入が決まりました。

改革の柱として当初は、英語の民間試験の活用や、国語と数学での記述式問題の導入が予定されていましたが、制度の不備への指摘が相次ぎ導入の1年余り前になっていずれも見送られ、受験生たちが対応の見直しを余儀なくされる事態にもなりました。

「センター試験」からの変更点は

出題方法はこれまでどおりマークシート方式が維持されますが、内容は従来よりも思考力や判断力がより重視され、知識偏重ではなくみずから考える力が問われることになります。

具体的な出題の変更点としては、「数学1」と「数学1・A」はいずれも配点は100点満点で変わりませんが試験時間が60分から70分に変わります。

「英語」は、従来の「筆記」が「リーディング」に変わり、配点が200点から半分の100点になる一方で、「リスニング」は50点だった配点が倍の100点に増えます。

また、「筆記」で出題されていた発音やアクセント、それに単語を並べ替えるといった問題が単独で出題されることはなくなります。

「リスニング」はこれまではすべての問題で2回同じ文章が流されましたが、今回から1回だけ流す問題も導入されます。

テストを実施する大学入試センターが2017年と18年に行った試行調査では、複数の資料や図表を読み解いて答えを導き出す問題や、身近なテーマについての対話問題などが出題され、思考力や知識の活用が求められました。

一方で大学入試センターは、変化はあるものの現行の高校の学習指導要領に基づく学習範囲から出題されるため、高校の授業で学んだことをもとに試験に臨めば解ける内容になっているとしています。