北海道の景気判断 日銀が引き下げ 9地域で唯一 消費が低水準

日銀は全国の景気の現状について3か月ごとにまとめている「地域経済報告」を公表し、9つの地域のうち北海道の景気判断を引き下げる一方、北陸と四国、それに九州・沖縄の3地域の景気判断を引き上げました。

日銀は14日、3か月に1度の支店長会議をオンライン方式で開き、全国9つの地域の景気の現状について点検した結果を「地域経済報告」にまとめ、公表しました。

それによりますと、前回・去年10月の報告で「持ち直しつつある」としていた北海道は、個人消費が引き続き低い水準となっていることから、今回は「足元では持ち直しのペースが鈍化している」として景気判断を引き下げました。

その一方で、北陸と四国、それに九州・沖縄の3つの地域の景気判断は引き上げました。

このうち、四国は前回報告の「弱い動きが続いている」から、今回は「一部に足踏み感もあるが、全体としては持ち直しの動きがみられている」に改めました。

東北、関東甲信越、東海、近畿、それに中国の5つの地域の景気判断は据え置きました。

日銀は各地域の景気の判断について、新型コロナウイルスの影響で厳しい状態にあるとしつつも、持ち直しの動きがみられているなどとしています。

ただ「足元ではサービス業を中心に感染症の再拡大の影響を指摘する声が聞かれている」としていて、引き続き新型コロナウイルスが経済に与える影響を注視し、必要があれば躊躇(ちゅうちょ)なく追加の金融緩和に踏み切る方針です。

日銀 札幌支店長「観光への影響が懸念」

緊急事態宣言の対象地域に愛知県が追加されたことについて、日銀名古屋支店の加藤毅支店長は「感染が拡大する中、人々の行動がどれほど変わるかで、影響の範囲は大きく変わってくる。今回の緊急事態宣言は、前回と比べて感染対策と経済対策のバランスは意識されているようなので、こうした違いも意識しながら注意深く点検したい」と述べました。

また、同様に福岡県が対象地域に追加されたことについて、日銀福岡支店の冨田淳支店長は「まずは飲食や宿泊、観光への影響が懸念される。宣言が出される前の年末年始の時点で、帰省客による需要が減少したという声も聞かれるので、小売りなど他の業種への影響が、どの程度波及するのかよく見ていきたい」と述べました。

また、日銀札幌支店の石井正信支店長は「緊急事態宣言にともない、Go Toトラベルの一時停止が延長されたことで、観光への影響が懸念される。また、北海道から対象地域への食材供給が減少することも懸念される」と述べました。