菅首相会見 緊急事態宣言11都府県に拡大 対策への協力呼びかけ

菅総理大臣は、13日夜、総理大臣官邸で記者会見し、緊急事態宣言の対象地域の拡大について、「厳しい状況を好転させるためには、欠かせない措置であることを理解してもらいたい」と述べ、重ねて対策への協力を呼びかけました。また、11の国と地域で実施しているビジネス関係者らの往来を停止する方針を示しました。

会見の冒頭、菅総理大臣は、大阪、愛知、福岡などあわせて7つの府県を対象に、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく、緊急事態宣言を出したことを説明しました。

そのうえで、「先の1都3県に続き、ほかの地域でも厳しい状況が続いている。皆さんも、不安に感じていると思うが、この厳しい状況を好転させるためには、欠かせない措置であることを理解してもらいたい」と述べました。

そして、「必要なことはあらゆる手段を尽くして取り組んでいく。制約の多い生活でご苦労をおかけするが、なんとしても乗り越えていかなければならず国民の皆さんの協力をお願い申し上げる」と重ねて協力を呼びかけました。

「『ステージ4』に相当する指標が多いことなどで判断」

菅総理大臣は「追加した7府県については、新規感染者数、病床の利用率など、いわゆる『ステージ4』に相当する指標が多いことや、大都市は人口が集中していて、全国に感染が広がるリスクがあることなどの要素に基づき、専門家のご意見も伺い判断した」と述べました。

「対策は、前回同様、飲食店の時短や外出自粛など」

菅総理大臣は、記者会見で「対策の内容は、前回と同じく、飲食店の夜8時までの時間短縮、テレワークによる出勤者数7割減、特に夜8時以降の不要不急の外出の自粛、スポーツ観戦やコンサートなどの入場制限の4つになる」と述べました。

「宣言対象地域以外でも感染拡大には同様の支援」

菅総理大臣は「今回、対象となる地域以外にも『ステージ4』に向けて感染が拡大している地域については、緊急事態宣言に準じる措置として、飲食店の時間短縮など、同じ4つの対策を講じる場合には、国として宣言の対象地域と同じ支援を行うこととする。タイミングを逸することなく効果的な措置を講じていく」と述べました。

「病床の確保を徹底的に進めていく」

菅総理大臣は「医療体制の確保にも全力をあげている。東京都では、コロナ病床の確保のために、国と一つのチームになり、国が財政支援を用意した上で、1つ1つの病院に直接、働きかけを行って、ことしになって、500床の病床を確保した。今後、他の地域においても同様の取り組みを行い、病床の確保を徹底的に進めていく」と述べました。

「不要不急の外出は日中も自粛を」

菅総理大臣は、「不要不急の外出については、飲食店が閉まる夜8時以降だけでなく、日中も控えていただくようお願いする。また、昼間の時間帯や夜8時までについても、お酒を飲んで大きな声を出したり、距離をとらずに座ったりするなど、感染リスクの高い飲食を避けてもらいたい」と述べました。

「あらゆる方策を尽くし命と暮らしを守る」

菅総理大臣は記者会見で「いまの状況を長引かせないために、国民、国、自治体が同じ方向に向かって制約のあるこの生活を乗り越えていかなければならない。あらゆる方策を尽くし、国民の皆さんの命と暮らしを守る。ぜひ皆さんに今一度のご協力をお願いしたい」と述べました。

「徹底して行動の見直しを」

菅総理大臣は「対象期間である来月7日までの間、徹底して行動を見直していただきたい。特に30代以下の若者の感染者が増えていて、多くの方は無症状や軽症だが、若者の外出や飲食により、知らず知らずのうちに感染を広げているという現実がある」と述べました。

「政府と11都府県との連絡会議を新設」

菅総理大臣は「今回の対策全体が効果を上げるには、国と都道府県がしっかり連携し、国民の皆さんのご協力をいただくことが極めて重要だ。きのう(12日)、1都3県の知事と意見交換を行い、今後連携して対策を行っていくことを確認した」と述べました。

その上で「追加された府県を含めて、政府と各都府県との連絡会議を新たに設ける。この連絡会議の議論を通じて、感染拡大を何としても防ぐために、地域の実情を踏まえた対策を実行していただくとともに、国としても最大限の必要な支援を行って参りたい」と述べました。

「宣言は最善の判断が求められる」

菅総理大臣は記者会見で、緊急事態宣言の対象拡大について結果的に見通しが甘かったのではないかと問われ、「緊急事態宣言は、法律に基づく措置によって感染対策を徹底する強力な手段だ。一方で、皆さんの生活を大きく制約もする。政権としては発出にあたって、最善の判断が求められる」と述べました。

その上で「先週の段階では、大阪の感染者が急増したのは直前のことであり、専門家も『よく原因を分析すべきだ』と評価していた。それに基づいて、東京など1都3県を対象とする判断をした。今回、対象とした地域は、新規感染者数や病床の利用率がいわゆる『ステージ4』に相当する指標が多いことや、大都市圏は人口が集中して、全国に感染が広がるリスクがあるという要素に基づいて判断した」と説明しました。

ビジネス関係者らの往来を停止へ

菅総理大臣は、水際対策について「これまでビジネス関係者らの往来で合意している11の国と地域からの入国者に変異株の感染が確認された事例はない。ただ、現在の国内の深刻な感染状況に加えて、直近では、イギリスからの帰国者によるクラスターや、ブラジルからの帰国者で新たな変異株が確認された事例が相次ぎ、国民の不安がさらに高まっている現状を大変重く受けとめている」と述べました。

そのうえで「あらゆるリスクを予防的に取り除くために、緊急事態宣言が発令されている間、今後、速やかに相手国との調整を完了し、11の国と地域からの新規入国を一時的に停止する」と述べました。

「国民に慣れや疲れも 大きな波がきている 協力を」

菅総理大臣は「去年の春と夏に続く、3回目の感染拡大で、確かに国民の皆さまには、慣れや疲れがあると思う。しかし、今回は諸外国を含めて、大都市圏を中心に、過去最高の水準で感染拡大が続き、まさに大きな波がきている。何としても感染拡大を減少方向にもっていかなければならないことを国民のみなさまに強く訴えると同時に、引き続き、飲食店の営業時間の短縮をはじめとする対策をしっかりと実施して、国民に協力をいただく中で、感染を減少させていきたい」と述べました。

「調査の実効性上げるため感染症法改正を検討」

菅総理大臣は「感染拡大の防止を図るために、新規陽性者の過去の行動を調査して、濃厚接触者を特定し、対策を講じることは極めて重要だ。一方で現場からは、感染者が増えるにしたがって調査に協力をいただけないケースがどんどん増えてきていると報告を受けている。調査の実効性を上げることができるよう、感染症法の改正を検討している」と述べました。

「医療法 検証し必要があれば改正は当然」

菅総理大臣は、新型コロナウイルス患者の病床確保に向け、医療法を改正する必要性を問われたのに対し「今のままでいいのかどうかは、今回のコロナがあったことも含め、もう一度、検証していく必要があると思っている。必要があれば、改正するのは当然のことだ」と述べました。

「北朝鮮との対話の機会を逃さないようにしたい」

菅総理大臣は記者会見で「拉致問題は菅内閣にとっても最重要課題であり、被害者のご家族が高齢になる中、一刻の猶予もない。条件を付けずにキム・ジョンウン総書記と直接向き合う決意だ」と述べました。

そのうえで「東京オリンピック・パラリンピックへの北朝鮮の参加については、IOC=国際オリンピック委員会や大会組織委員会などとの間で調整される。注視して対話のチャンスを逃すことがないようにしたい」と述べました。