大学院生や教員が系列病院で医療現場支援 東京 聖路加国際大

新型コロナウイルスによる医療体制のひっ迫を受けて、国は全国の看護系の大学に対し、看護師の免許を持つ大学院生や教員を医療現場に派遣するよう要望しています。東京の聖路加国際大学では、大学院生や教員を系列の病院に支援に送り出す取り組みを進めています。

東京 中央区にある聖路加国際大学では、国からの要望が届く前から自主的に看護師の免許を持つ大学院生や教員を系列の聖路加国際病院などに支援に送り出しています。

都内の感染確認が増えたこの年末年始も、教員14人、大学院生4人の合わせて18人が9日間にわたって、医療現場に支援に入りました。

具体的には、手薄になる夕方の時間を中心に看護師のシフトに入ってもらい、
▽ナースコールへの対応や、
▽食事やトイレの介助、
それに
▽高齢患者の見守りなどにあたったということです。

先月末に緩和ケア病棟で食事介助などを手伝ったという、大学院生の谷村美希さんは「全く見知らぬ病院や病棟だと難しいですが、緩和ケア病棟は実習でお世話になっていて少し勝手がわかっていたので何か少しでも役に立てればと思い手をあげました。チームの一員として役割を担うのは難しいところもありますが、補助的な仕事であれば、その場で指示がもらえれば十分可能だと思うので、力になりたい」と話していました。

聖路加国際病院の鈴木千晴看護部長は「コロナ患者に対応している看護師の業務を軽減するために支援に入ってもらうことはとても助けになりました。一方で、学びを止めることにならないように可能なかぎりでお願いできればと思います」と話しています。

大学院生を医療現場に送り出した聖路加国際大学大学院看護学研究科長の麻原きよみ教授は「医療現場はひっ迫しているので、専門職であれば誰でもこの状況を何とかしなくてはいけないと感じていると思います。ただ、強制的なものではなく教員なら教育活動、院生だったら学習に専念しなくてはいけないので、それを優先しつつそれぞれができる時に取り組んでいければと思います」と話しています。

支援の内容は、新型コロナの患者への対応ではないものの、食事やトイレの介助など、病院での看護業務の支援だということで「医療現場は通常の業務があった上にコロナ対応があるので、看護師たちが手の回らないところを院生たちが支援する、間接的ではあるものの支援につながっているのではないかと思います」と話していました。

また、聖路加国際大学では、医療現場への支援だけでなく感染経路を調べるなどの業務を担っている保健所も支援しているということです。

麻原教授も先月末、都内の保健所に支援に入ったということで「濃厚接触者に電話して発症から2週間の行動を細かく聞き取り、濃厚接触者を特定し、クラスターかどうか調べていく。1人当たり30分以上かかり、家族全体だと1時間以上かかることもあり、保健所もかなりひっ迫していました。今後も可能な範囲で支援を続けていきたい」と話していました。