社会起業家の先駆け!?渋沢栄一

社会起業家の先駆け!?渋沢栄一
2021年2月から始まる大河ドラマで主人公となる渋沢栄一。明治から昭和初期にかけて活躍した実業家で、「近代日本経済の父」と呼ばれています。その人生から、今につながるヒントを探ります。

問題に挑戦

問題
渋沢栄一について述べた文として正しいものを、次のア~エの中から1つ選び、記号で答えなさい。
ア 江戸時代の両替商の子孫で、明治時代に多くの会社を経営して財閥を形成した。
イ 土佐藩の出身で、運輸事業で財をなし、やがて政府と結びついて財閥を形成した。
ウ アメリカの銀行制度を日本に輸入し、のち大蔵大臣を歴任して財政難を乗り切った。
エ 多くの会社の創立に関わったが財閥的な支配をせず、経済と道徳の合一を説いた。
(聖光学院中学校 2020年 改題)
答えは、選択肢「エ」です。
渋沢は多くの会社の創立に関わりましたが、財閥的な支配はしませんでした。
その理念は「経済と道徳の合一」。今で言う“社会起業家”のパイオニアともいえる人物です。

民間の力で世の中を動かす

渋沢史料館の館長、井上潤さんです。渋沢が人生で大切にしていた志があるといいます。
井上さん
「『民間の人たちが世の中を動かすという意識にならなければいけない。産業化を進めて民間の人たちの力をつけて、民間力をつけて世の中の発展に導きたい』と渋沢は考えていました」
「近代日本経済の父」と呼ばれる渋沢栄一。
実業家として数多くの企業や団体の設立に携わり、1873年には日本で初めての銀行となる「第一国立銀行」を創設。
渋沢が多くの事業家や市民に出資を募り、民間の資本で生まれました。
井上さん
「一般市民からも出資してもらい、また資本家どうしが資金を出し合って、大事業に着手できる、事業の規模の拡大化が図れた、ということがまず第一にあると思います。それと同時に、事業自体が世の中全体のものになるという渋沢らしい考え方ですが、それを支える多くの人々によって成し遂げられた事業であるという認識をみんなに持ってもらいたい、という思いがありました」

社会の基盤を築く

「民間の力で社会を発展させたい」
この考え方で渋沢が取り組んだ事業のひとつが「製紙業」です。
27歳の時、のちの水戸藩主、徳川昭武に随行してパリの万国博覧会を見学した渋沢。滞在先に前日の出来事を伝える新聞が届くことに驚いたのがきっかけだったといいます。
井上さん
「いち早く、多くの人に伝えられる新聞、または雑誌というものが必要なんだと感じて、そのためにまずは印刷できる紙、日本の和紙ではなかなか難しいということで、西洋紙に着手したようなところはあります。製紙業を始める際、日本の文明文化を高める、文運を高める、これぞまさしく事業である、というようなことを言い放っていますね」
渋沢はそのほか、海運業や鉄道事業、紡績業など幅広い分野の事業に関わり、その数は生涯でおよそ500に上るとされています。

経済と道徳の合一

日本を代表する実業家となった渋沢ですが、みずから大きな財閥を率いることはありませんでした。
その理由が「経済と道徳の合一」という理念。
企業が利潤を追求するとしても根底には道徳が必要で、公益を第一にするべきだという考え方でした。
井上さん
「いくら自分が豊かになったところで世の中全体が疲弊していたら、その利益は十分生かせるものではない、まずは世の中が豊かになれば、それ以上の利益が自分に跳ね返ってくるようになる。自分の利益よりまず相手の利益、周りの利益、公益というものを大事にしましょう。それが渋沢の考えです」
そんな渋沢が83歳の時、経験したのが関東大震災でした。
すでに一線を退いていた渋沢でしたが、人脈を生かして臨時の病院や炊き出し、避難所などの対策に取り組み、社会の復興に尽力したのです。

今を生きる私たちに対して、渋沢なら人としてどう生きるべきだと説くでしょうか。
井上さん
「一人一人に対して、世の中のために生きている、自分もその一員である、その一人であるという意識を持ち続けること、それをずっと思い続けていた人なんじゃないかなと思います」
渋沢は社会公共事業にも熱心で、関東大震災の復興だけでなく、生活困窮者の救済にも取り組みました。
貧困などの社会的な課題を、ビジネスを通じて解決する人のことを“社会起業家”といい、いまや若い世代の中にも、そういった志を持って起業する人が増えています。
その社会起業家の先駆者といえるのが渋沢です。100年も前に生きた渋沢ですが、今から見てもとても斬新で、未来を捉えた生き方でした。
渋沢の生き方から学び、「社会のために自分は何ができるのか」を考えていきたいですね。
「週刊まるわかりニュース」(土曜日午前9時放送)の「ミガケ、好奇心!」では、毎週、入学試験で出された時事問題などを題材にニュースを掘り下げます。
「なぜ?」、実は知りたい「そもそも」を、鎌倉キャスターと考えていきましょう!

コーナーのホームページでは、これまでのおさらいもできます。
下のリンクからぜひご覧ください!