社会

大麻取締法 新たな罰則検討へ 近く有識者会議立ち上げ 厚労省

若者による大麻の乱用が深刻化する中、厚生労働省は取締りの強化について検討するため、近く有識者会議を立ち上げることを決めました。
現在の法律では大麻を使用すること自体を禁じていないことから、新たに罰則を設けるかどうかなども含めて議論する方針です。
厚生労働省によりますと、おととし1年間に大麻を所持したなどとして全国で検挙されたのは合わせて4570人で、6年連続で過去最多を更新し、半数以上を20代以下の若者が占めています。

そこで厚生労働省が取締りの強化について検討するため、法学や薬学の専門家などで作る新たな検討会を今月中に立ち上げることが関係者への取材で分かりました。

現在の大麻取締法では大麻を所持したり、栽培したりすることを禁じていますが、使用する行為そのものは規制の対象にしていないことから新たに「使用罪」を創設するかどうかなどを含めて議論するということです。

このほか検討されるのが大麻草を原料にした医薬品の取り扱いです。

海外ではがんの鎮痛薬などとして用いられていますが、国内では規制の対象となるため、日本の医療現場でも使用できないか検討し、法律の見直しについても議論するということです。

検討会では、ことし夏にも報告書を取りまとめることにしています。

大麻取締法とは

厚生労働省によりますと、日本では歴史的に大麻草の繊維や種子が衣類や、しめ縄、七味などの原料として使われてきました。

戦後、GHQ=連合国軍総司令部が栽培なども含めて全面的に禁止しましたが、国は、麻農家を守るため昭和23年に大麻取締法を制定し、許可を受けた人だけが扱える免許制度を創設しました。

用途は研究のほか、繊維や種子の採取に限定され、違反すれば最大で10年以下の懲役などが科されます。

一方、大麻取締法には、大麻を使用することそのものを禁じる「使用罪」の規定がありません。

厚生労働省によりますと、法律を制定する際、許可を受けた麻農家が大麻の成分を吸い込んでしまう可能性が指摘され、「使用罪」が盛り込まれなかったと見られています。

関係者によりますと、大麻を使用した形跡があっても所持していなければ検挙できないケースもあり、捜査員などから「使用罪」の創設を求める声があがっているということです。

海外では医薬品として利用も

厚生労働省によりますと、アメリカなどでは大麻草から作られた医薬品が複数、承認され、てんかんの治療や、がんなどの痛みを抑える目的などで使われています。

しかし、日本では大麻取締法で規制されているため、原則、国内への持ち込みは禁止されています。

一方、こうした医薬品について、国内で治験を行うことなどは規制の対象になっていないため、法的にどう位置づけるか整理する必要があるということです。

「大麻は安全」は誤り 依存性も

一方で、大麻は世界で最も乱用されている薬物で、さまざまな精神症状を引き起こすだけでなく、脳の一部を萎縮させるため認知症の原因になるとも指摘されています。

依存性があるため、常習化する危険があり、大麻をきっかけに覚醒剤などさらに効果の強い違法薬物に手を出す人も多く、「ゲートウェイドラッグ」とも呼ばれています。

海外では、カナダやウルグアイなど大麻の使用を認めている国もあり「海外では合法化されているから安全だ」などと誤った考えが広まる要因になっているとされていますが、こうした国では合法化せざるを得なかったという事情があります。

厚生労働省によりますと、欧米では生涯で大麻を経験する人が2割から4割と高く、国の管理下に置くことで特に若者の乱用を防ぐとともに、より依存性が高い違法薬物の取締りに重点を置くねらいがあるとされています。

検挙人数は最多 若者に広がる

厚生労働省によりますと、おととし1年間に大麻の所持や栽培をしていたなどとして麻薬取締部や警察などに検挙されたのは、全国で合わせて4570人で前の年を800人余り上回りました。

6年連続で増加して過去最多を更新しています。

このうち、57%を20代以下の若年層が占めているということです。

厚生労働省は「大麻は安全だ」という誤ったイメージなどがインターネットやSNSでも広まっていることから、若者を中心に手を出す人が増えていると見ています。

また、おととしの押収量もおよそ430キロと4年連続で増加していて、幻覚作用を引き起こす成分をより多く含むものや、成分を濃縮した「大麻ワックス」なども出回っているということです。

厚生労働省は、警戒を強めるとともに「大麻の乱用は違法で自分が検挙されるだけでなく、家族や友人にも大変な影響が出るので絶対に手を出さないでほしい」と呼びかけています。

特集

データを読み込み中...
データの読み込みに失敗しました。