全国の火山概況 全国9火山に「火口周辺警報」 気象庁

気象庁は12日、去年12月の全国の活火山の活動状況や警戒すべき点を発表しました。
噴火が発生したり火山活動が高まったりしているとして全国の9火山に「火口周辺警報」が、1つの海底火山に「噴火警報(周辺海域)」が発表されています。

火口周辺警報は9火山

今後の噴火で火口の周辺や居住地域の近くに影響が出るおそれがあるとして「火口周辺警報」が発表されているのは、
▽群馬県にある草津白根山の「白根山」
▽長野県と群馬県の県境にある「浅間山」
▽鹿児島と宮崎の県境にある霧島連山の「新燃岳」
▽鹿児島県の「桜島」「口永良部島」「薩摩硫黄島」「諏訪之瀬島」
▽小笠原諸島の「西之島」と「硫黄島」の合わせて9火山です。

噴火警戒レベル3は3火山

このうち、居住地の近くまで影響が出るおそれがあり「入山規制」を示す噴火警戒レベル3は「桜島」、「口永良部島」、「諏訪之瀬島」に発表されています。

<諏訪之瀬島>。
諏訪之瀬島の御岳火口では火山活動が活発化しています。

12月21日以降は爆発的な噴火が増加し、26日には火山ガスの1日あたりの放出量も2500トンと増加しました。

28日の爆発的な噴火では大きな噴石が火口から南東に1.3キロまで達しました。

この噴火で気象庁は噴火速報を発表し、その後、噴火警戒レベルを「火口周辺規制」の2から、「入山規制」の3に引き上げています。

気象庁は、火口からおおむね2キロの範囲では大きな噴石に警戒するよう呼びかけています。

〈桜島〉。
桜島の南岳山頂火口では、噴火が25回発生し、このうち爆発的な噴火は18回でした。

大きな噴石は最大で火口から1300メートルから1700メートルの4合目に達し、噴煙は最高で火口から3500メートルまで上がりました。

火山ガスの放出量は1日あたり1500トンから2900トンとおおむね多い状態でした。

気象庁は、桜島では噴火活動が緩やかに活発化の傾向を示しているとしています。

また、鹿児島湾にある姶良カルデラの地下には、長期間にわたって供給されたマグマが蓄積された状態が続き、火山ガスの放出量が多い状態も続いていることから、南岳山頂火口を中心に噴火活動がさらに活発化する可能性があるとしています。

気象庁は、南岳山頂火口と昭和火口からおおむね2キロの範囲では、大きな噴石や火砕流に警戒するよう呼びかけています。

<口永良部島>。
口永良部島では、8月30日以降噴火は観測されていません。

火山ガスの放出量はおおむね少ない状態で、火山性地震は11月の220回に対して12月は284回と増え、やや多い状態です。

2019年10月ごろから見られた地下のマグマの蓄積を示すとみられる地殻変動は停滞していることなどから、火山噴火予知連絡会は12月、「規模の大きな噴火の可能性は低下していると考えられる」とする見解をまとめました。

気象庁は火口からおおむね2キロの範囲で大きな噴石や火砕流に、向江浜地区から新岳の南西にかけての火口から海岸までの範囲では、火砕流に警戒するよう呼びかけています。

噴火警戒レベル2は4火山

火口周辺への立ち入りが規制される噴火警戒レベル2は
▽草津白根山の「白根山」
▽「浅間山」
▽霧島連山の「新燃岳」
▽「薩摩硫黄島」の4つの火山に発表されています。

<新燃岳>。
霧島連山の新燃岳では、10月中旬以降は火山性地震の活動が低下したことなどから、12月11日に噴火警戒レベルが2から1に引き下げられました。

その後18日から再び火口直下を震源とする地震が増加し火山活動が高まったとして、25日に再び噴火警戒レベルは2に引き上げられました。

気象庁は、火口からおおむね2キロの範囲で大きな噴石に、おおむね1キロの範囲で火砕流に警戒するよう呼びかけています。

<草津白根山の白根山>。
草津白根山の「白根山」では湯釜付近の浅い部分で火山性地震が継続的に発生しています。

湯釜付近の熱水活動も続いていて、気象庁は引き続き小規模な水蒸気噴火が発生する可能性があるとしています。

気象庁は湯釜火口からおおむね1キロの範囲では、大きな噴石に警戒するよう呼びかけています。

<浅間山>。
浅間山では、火山性地震が増減を繰り返しながら発生していますが、12月はおおむね少ない状態です。

しかし、噴煙や火山ガスの放出量は、去年6月に活動が活発化する前と比べて多い状態が続いています。

気象庁は、火山活動が高まっていて、今後小規模な噴火が発生する可能性があるとして、火口からおおむね2キロの範囲で大きな噴石や火砕流に警戒するよう呼びかけています。

<薩摩硫黄島>。
薩摩硫黄島では、10月7日以降、噴火は観測されていません。

火山性地震や地殻変動に特段の変化はありませんが、夜間には「火映(かえい)現象」が観測され、噴煙も時々高くなるなど、長期的には熱活動が高まった状態が続いています。

気象庁は火口からおおむね1キロの範囲で大きな噴石に警戒するよう呼びかけています。

レベル無しも警報は2火山

噴火警戒レベルが導入されていないものの「火口周辺警報」が発表されているのが、小笠原諸島の「西之島」と「硫黄島」です。

<西之島>。
西之島では、気象衛星の観測で8月下旬以降、噴火は確認されておらず、火山活動は低下しているものの、山頂火口内には噴気や高温域があり、今後噴火が再開する可能性があるとしています。

気象庁は「入山危険」を示す火口周辺警報を継続したうえで、12月18日に警戒が必要な範囲を山頂火口からおおむね2.5キロから1.5キロに縮小し、大きな噴石や溶岩流に警戒を呼びかけています。

<硫黄島>。
2018年9月に海底噴火が起きたと推定される硫黄島では、地盤の隆起を示す変動がみられ、12月28日には島内でごく小規模な噴火が発生するなど、火山活動がやや活発な状態で推移しています。

気象庁は火口周辺に影響を及ぼす噴火が発生するおそれがあるとして、警戒を呼びかけています。

「福徳岡ノ場」に「噴火警報(周辺海域)」

小笠原諸島の近海にある海底火山の「福徳岡ノ場」では、周辺の海域に影響を及ぼす噴火が発生するおそれがあるとして「噴火警報(周辺海域)」が発表されています。

周辺では火山活動によるとみられる海面の変色などが確認されています。

気象庁は、小規模な海底噴火が予想されるとして、周辺海域で警戒を呼びかけています。

警報なし・レベル1もリスク認識を

全国の活火山の中には噴火警報が発表されておらず、噴火警戒レベルが1の火山がありますが、過去に噴火を繰り返してきた活火山であることに変わりはありません。

北海道の十勝岳では、2020年6月に2000年以来となる火映が観測されたほか、9月には火山性微動が観測されるなどレベル1であっても火山活動は変化しています。

顕著な前兆が無い中で突然の噴火が起こりうることも改めて認識する必要があります。

最新の情報確認を

各地の火山の活動状況や注意点は、気象庁や各地の気象台、自治体のホームページなどで確認することができます。