米民主党 トランプ大統領 弾劾訴追の決議案を議会に提出

アメリカの連邦議会でトランプ大統領の支持者らが乱入した事件を巡り、野党・民主党はトランプ大統領を弾劾訴追する決議案を議会に提出するとともに、ペンス副大統領に大統領を事実上、解任するよう求める決議案も出し、責任の追及に向けて攻勢を強めています。

アメリカの連邦議会で1月6日、暴徒化したトランプ大統領の支持者らが乱入した事件では、選挙結果を覆そうとする大統領の姿勢や呼びかけが事態を招いたという批判が強まっています。

これを受けて民主党は11日、トランプ大統領が「政府への暴力をあおる重罪に関与した」として、罷免を求める弾劾訴追の決議案を議会下院に提出しました。

またペンス副大統領に憲法の規定に基づき大統領が職務上の権限と義務を遂行できないと申し立てて、事実上、解任するよう求める決議案も出して、大統領の責任を追及する動きを加速させています。

2つの決議案は12日と13日にそれぞれ採決にかけられ、下院で多数を占める民主党議員などの賛成で可決される見通しです。

しかし、決議案の可決により大統領が弾劾訴追されても、これを受けて議会上院で開かれることになる弾劾裁判は、1月20日の大統領の任期切れには間に合わない見通しです。

また、大統領の事実上の解任に関しては、ペンス副大統領は応じないと報じられていて、任期中に大統領が解任か罷免される可能性は低い見通しです。

ただ、仮に弾劾裁判が開かれて有罪となれば、選挙への立候補資格の剥奪にもつながることから、民主党としては一連の決議でトランプ大統領の責任を明確化して、次の大統領選挙に向けた政治活動を阻止したいねらいもあるとみられ、攻勢を強めています。

国土安全保障省のウルフ長官代行が辞任

トランプ政権の国土安全保障省のウルフ長官代行はツイッターで、11日付けで辞任することを明らかにしました。

この中でウルフ長官代行は「今夜11時59分で長官代行の職を辞する。この政権が終わるまで任期を務めるつもりだったので辞任することは悲しい」としています。

先週、暴徒化したトランプ大統領の支持者らが連邦議会を一時占拠したこととの関連については言及していません。

ただ、ウルフ長官代行は、トランプ大統領に対して、一連の混乱について非難するよう求める声明を出していて、その後、ホワイトハウスは、ウルフ長官代行を長官に指名する方針を撤回しました。

トランプ政権では連邦議会の占拠事件のあと、残りの任期が2週間を切る中ですでに2人の閣僚が辞任しています。

トランプ大統領 ワシントンを支援

アメリカの連邦議会にトランプ大統領の支持者らが乱入した事件を受けて警戒が強まる中、トランプ大統領は、1月20日のバイデン次期大統領の就任式に向けて非常事態を宣言している首都ワシントンを連邦政府としても支援する考えを示しました。

具体的には治安の確保のために国土安全保障省やFEMA=連邦緊急事態管理庁が人員や予算の面で支援するとしています。

日本大使館「注意するよう呼びかけ」

首都ワシントンの日本大使館は現地の日本人に対して、安全に注意するよう呼びかける電子メールを送り、1月6日、トランプ大統領の支持者らが連邦議会に乱入した事件で死傷者が出たほか、共和党や民主党の全国委員会本部の近くでパイプ爆弾が見つかるなどしたと指摘しました。

また、首都ワシントンの市長が暴力の脅威が続いているとして、1月20日の大統領就任式当日にワシントンを訪れないよう求めているほか、全米各州で武装した集団によるデモが行われる可能性があるとして、FBI=連邦捜査局が警戒を呼びかけているという報道があるとしています。

このため、日本大使館は、現地の治安情勢は緊迫しているとしたうえで、ワシントン中心部への訪問は慎重に検討するよう呼びかけました。

また、今後、ワシントンだけでなく、全米各地で抗議活動が行われる可能性があることから、市街地などを訪れる場合はふだん以上に安全に注意して、抗議活動などに近づいたり、写真を撮ったりしないよう呼びかけています。

トランプ大統領 ペンス副大統領と会談

アメリカの複数のメディアは11日、政府高官の話として、トランプ大統領がペンス副大統領と連邦議会への乱入事件後、初めてホワイトハウスで会談したと報じました。

報道によりますと、2人は「議事堂に乱入した人物らは7500万人が支持したアメリカ第一主義の取り組みを代表していない」と強調したということです。

そのうえで2人は残りの任期中、国のために働き続けることを確認したとしています。

野党・民主党はこの日、トランプ大統領の罷免を求める弾劾訴追の決議案を提出したほか、ペンス副大統領に対してトランプ大統領を事実上、解任するよう求め、議会で手続きを始めましたが、2人がその対応を話し合ったかどうかは明らかになっていません。

加藤官房長官「一致結束して歩んでいくことを期待」

加藤官房長官は、閣議のあとの記者会見で「米国の内政に関することなので政府としてコメントは差し控えたいが、11日、菅総理大臣が述べたとおり、バイデン次期大統領のもとでアメリカ国民が一致結束して歩んでいくことを期待したい」と述べました。

一方、記者団が、日本を取り巻く安全保障環境への影響について質問したのに対し「重大な関心を持って、情報収集、分析を行っており、アメリカ政府とも緊密に連携を図っている。引き続き、国民の安全と平和を守るため全力で取り組んでいきたい」と述べました。