大阪府 緊急事態宣言の発出 あすにも政府に要請へ 隣接府県と

大阪府は、新型コロナウイルスの対策本部会議を開き、府内での急激な感染拡大を受けて政府に対し、緊急事態宣言の発出を要請することを決めました。府では、隣接する兵庫県や京都府と足並みをそろえたうえで、9日にも政府に要請する方針です。

大阪府は、府内での新型コロナウイルスの急激な感染拡大を受けて8日午後対策本部会議を開き、冒頭、吉村知事は「感染がこの2日間で急拡大しているという状況を考えたとき、大阪でも緊急事態宣言の発令を要請すべき時期に入った。東京・首都圏と同様の対策を今の時点でとるべきだというのが僕の考え方だ」と述べました。

会議では、新規の陽性者が直近の1週間で急増するなど感染が急拡大のフェーズに入っていることや、重症者数も今後、当初の試算を上回る状況が予想されるとする分析が報告されました。

そして、感染拡大を抑え込むためには対策の一層の強化が必要だとして、政府に対し、緊急事態宣言の発出を要請することを決めました。

府では、隣接する兵庫県や京都府と足並みをそろえたうえで、9日にも政府に要請する方針です。

また、今月11日までの期限としていた、大阪市内の酒類を提供する飲食店などへの営業時間短縮の要請については、当面の措置として、延長することを決めました。

そのうえで、今後、大阪府に緊急事態宣言が出された場合は、対象エリアを府内の全域に拡大したうえで、営業時間を午後8時まで、酒類の提供は、午前11時から午後7時までとするよう、改めて要請する方針です。

さらに府民に対し、引き続き不要不急の外出を自粛するよう改めて要請するとともに、7日緊急事態宣言が出された東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県との往来の自粛や、成人式前後の懇親会を控えるよう要請することも決めました。

吉村知事「ここ2、3日で感染が急拡大 医療体制もひっ迫」

大阪府の吉村知事は府の対策本部会議のあと記者団に対し「なんとか12月は抑えることができていたが、ここ2、3日で感染が急拡大し医療体制もひっ迫している。このまま続けば、医療がさらに厳しい状況になり、感染の急拡大の波はさらに広がる可能性も高く、大阪府として緊急事態宣言の発出の要請を判断した」と述べました。

そのうえで吉村知事は「人と人との交流など飲食の場も含めてより一段、厳しくお願いし、感染拡大を抑えなければならない時期だ。首都圏と同様の措置をお願いすることになる。京都府、兵庫県の判断を踏まえたうえで、国との協議に入りたい」と述べ、9日にも大阪、兵庫、京都の3府県で政府に要請したいという考えを示しました。

さらに吉村知事は「緊急事態宣言を発出するかは最終的には国の判断だが、西村大臣との協議を踏まえ、できるだけ早く対策の開始時期を設定したい」と述べました。

大阪の感染状況 6つの指標は

新型コロナウイルス対策を検討する政府の分科会は、感染状況を4つのステージで示していて、このうち「ステージ4」は、感染が爆発的に拡大している状況を示すとしています。

このステージを判断する6つの指標について、大阪府の数値は7日時点で5つがステージ4の指標を超えています。

1.病床使用率
病床のひっ迫具合を示す「現在確保している病床に占める割合」は、全体の病床数の使用率が63.2%、重症者病床の使用率が78.1%とステージ4を超えています。

2.療養者数
「入院患者のほか、宿泊施設や自宅で療養している人の数」は10万人当たり50.67人と、ステージ4の「10万人当たり25人以上」を超えています。

3.PCR検査の陽性率
直近1週間のPCR検査の陽性率は7.7%となっていてこれはステージ4を超えていません。

4.新規感染者数
直近1週間の新規感染者数は10万人当たり29.72人で、これもステージ4にあたる10万人当たり25人以上を超えています。

5.直近1週間の新規感染者と前の週との比較
直近1週間の感染者数はその前の週よりも多い1.38倍。

6.感染経路不明者の割合
感染経路が不明な人の割合は56.3%と50%以上となり、ステージ4の指標を超えています。

道頓堀商店街「宣言 やむを得ないが 実情に合った支援を」

大阪府が政府に対し緊急事態宣言の要請を決めたことについて大阪 中央区の道頓堀商店街では「実情に合った支援をしてほしい」という声があがりました。

この商店街は近年、多くの外国人観光客でにぎわう大阪有数の観光スポットでしたが、8日も午前中、人通りはまばらでした。

商店街では去年4月以降、客足が大きく減ったことで、12月までにおよそ20店舗が休業や閉店を余儀なくされているということです。

年末のかき入れ時も多くの店舗が営業時間の短縮要請に応じてきましたが、さらに緊急事態宣言の要請が決まったことについて道頓堀商店会の北辻稔事務局長は「宣言が出るのはやむを得ないが、各店舗はすでに経営が厳しく、もはや成り立つかどうかの瀬戸際まで来ている。これ以上続くと資金が続かず撤退を決める店も増えてくると思う」と話しています。

大阪府や市は営業時間短縮の要請に応じた飲食店に対して一律の協力金を支給しています。

しかし、この商店街の一帯は家賃が非常に高いうえ、店によっては10人から20人ほどの従業員を雇っているところもあって営業を続けて行くには多くの費用がかかり、協力金だけで売り上げの減少分を補える店はほとんどないといいます。

北辻事務局長は「借金しながら運営している店も多いと思う。各店舗で規模が異なるので、一律の金額ではなく行政はしっかり調査したうえで実情に合った支援策を打ってほしい」と話しています。

西村経済再生相「危機感を共有 緊密連携を」

西村経済再生担当大臣は、記者会見で、大阪府、兵庫県、京都府の知事とそれぞれ電話で意見を交わしたことを明らかにしました。

そのうえで「感染状況や医療のひっ迫状況など極めて強い危機感を共有した。今後、感染者の数が高い水準で続いていくのか、医療がどういう状況になっていくのか、また、国民の命を守るためにどういった対応が必要なのかを含め、それぞれの知事と緊密に連携をとりながら対応し、専門家の意見をうかがって適切に判断したい」と述べました。