緊急事態宣言 医療関係者や専門家は

首都圏の1都3県を対象にした緊急事態宣言について医療関係者や専門家などの反応です。

「1人1人がきちんと行動を変える必要がある」

新型コロナウイルスの重症患者の治療を行ってきた国立国際医療研究センターでは、重症者用の病床が満床の状態が続き、入院患者の受け入れを断ることも増えているということで、治療にあたる忽那賢志医師は緊急事態宣言によって患者が減るなどの効果を期待する一方で「1人1人がきちんと行動を変える必要がある」と指摘しています。

忽那医師によりますと、現在は連日、重症化するリスクのある患者を中心に5人から6人ほどが入院するということで、退院しても別の患者が入院する状態が続き、重症者用の病床は先月下旬から満床だということです。

患者の入院を断ることも増えているということで、忽那医師は「先月初めには入院の依頼を断ることはほとんどなかったが今は断らざるを得ない日が増え、現場は年末からひっ迫している。今後、さらに患者が増えればより深刻な状況になりかねない」と話しています。

また、現状について「きょう診断されるのは年末年始に感染している人だと思う。これだけ感染者が増えていると政府も言っていたが、行動変容につながっていない、人出も減っていないことが原因だろう。これまで日本は患者の発生を抑えることで医療の質を担保し、世界に比べると致死率も低くできていたが、それができなくなってきている。懸念されるのは本来救える患者が救えなくなって、致死率が上がってきていることだ」と話しました。

そして、緊急事態宣言については「発熱外来で陽性になる人も急速に増えていて、本当に市中に感染が広がっている印象だ。今後、患者が徐々に減るなど効果を期待したいが、宣言後も減らないと、首都圏の医療は本当に崩壊すると思う。宣言を本当に意味あるものにするためには、1人1人が会食を控え、なるべくテレワークを進め、極力外出を控えて人どうしの接触を減らすなど、1人1人がきちんと行動を変える必要がある」と話しています。

「緊急事態宣言には重い意味」

日本感染症学会の理事長で東邦大学の舘田一博教授は「緊急事態宣言には重い意味がある。1人1人がより注意して行動変容を引き起こせば、感染者数を減少に転じさせられるし、転じさせなければいけない」と話しました。

また東京で7日、これまでで最も多い2400人余りの感染が確認されたことについて「東京では毎日のように感染者の数が過去最多を更新するような非常に厳しい状態が続き、医療崩壊が本当に来てもおかしくない状況だ。年末年始を『静かなお正月』として、人の動きをできるだけ少なくしようとしたが、今のところその効果が見られていない。首都圏の1都3県ではすぐにでも不要不急の外出を控えて、できるだけ外での会食、飲食を控えていくことが非常に重要だ」と指摘しました。

そして大阪府などほかの地域でも感染者数が増えていることについて「大阪は感染のピークを越えたように見えていたが、再び増加している。また福岡も感染拡大を抑えることができていると思われたが、今はどんどん増えている。大阪府や愛知県、福岡県など各地の大都市とその周辺では、東京と同じようなことが起きると考えておかなければいけない。感染状況を注意して見ておいて、感染が爆発的に拡大するような兆候が見えれば、緊急事態宣言をほかの地域にも広げることが必要になると思う」と話していました。