菅首相 「必ず事態を改善させるため ありとあらゆる方策を」

特別措置法に基づく緊急事態宣言を受けて、菅総理大臣は7日夜、総理大臣官邸で記者会見し、「1か月後には、必ず事態を改善させるため、ありとあらゆる方策を講じていく」と述べ、国民に協力を呼びかけました。

1都3県で期間は1か月

菅総理大臣は記者会見で「先ほど新型コロナウイルス対策本部を開き、緊急事態宣言を決定した。宣言の対象は東京、千葉、埼玉、神奈川の1都3県で、期間は1か月とした」と述べました。

その上で、具体的な措置について「第1に飲食店の20時までの営業時間短縮、第2にテレワークによる出勤者数7割減、第3に20時以降の不要不急の外出の自粛、第4にスポーツ観戦、コンサートなどの入場制限だ」と説明しました。

出勤者数の7割減を

菅総理大臣は「飲食店の営業時間短縮以外にも感染減少に効果的な対策を打ち出す。まずはテレワークだ。出勤すればどうしても同僚との食事や会話が増える。そうした機会をできる限り減らし、出勤者数の7割減をお願いしたい。昨年来、定着しつつある新しい働き方をさらに進め、都会でも地方でも同じ働き方ができるようにテレワークを強力に推進したい」と述べました。

時短に月180万円までの協力金

菅総理大臣は「飲食店については、20時までの時間短縮を徹底する。お酒の提供は、19時までとすることを要請する。また、本日の政令改正によって、各知事が要請に従わない飲食店を公表することも可能になった」と述べました。

そのうえで「多くの事業者は、すでに1か月以上にわたって、時間短縮にご協力をいただいており、厳しい経営状況にある。そのため、協力金に対する支援額を引き上げ、1都3県の20時までの時間短縮に対しては、1か月あたり180万円までの協力金を国が支援をする」と述べました。

休校や休園はお願いしない

教育現場への対応について「学校については、これまで学校から地域に感染が広がった例はほとんどなく、その中で、未来を担う子どもたちの学びの機会を守りたい。今回は小学校、中学校、高校、大学、幼稚園、保育園について休校、休園はお願いしない。大学については、対面の授業とオンラインでの授業を効果的に組み合わせていただくように要請する」と述べました。

雇用を守ることが政治の責務

菅総理大臣は「昨年以来、コロナの感染拡大の中でも、わが国の失業率は直近で2.9%で、主要国の中で最も低い水準で推移している。雇用を守ることが政治の責務だ。今後も雇用を守り、事業を継続していただくことを優先に取り組みを続ける」と述べました。

そのうえで「パートや非正規労働の方々を含めて、休業した場合の雇用調整助成金は、1日最大1万5000円を支給している。手元の資金に困っている方々のための最大140万円の緊急小口融資についても、昨年来、5000億円を利用いただいている。公庫などから最大4000万円の無利子無担保の融資も行っており、そのための十分な資金を用意した。ぜひみなさまに使っていただくよう、手続きも簡単にしたい」と述べました。

現在の感染の中心は1都3県

菅総理大臣は「早期に営業時間の短縮に取り組んでいただいた地域では その効果があらわれ、感染者を抑えることができている。現在の感染の中心は1都3県だ。この2週間で、全国平均の感染者数の約半分がこの1都3県に集中している。年末年始から本日に至るまで感染者数は極めて高く、本日、東京では2400人を上回るなど厳しい状況であり、大変な危機感を持っている」と述べました。

特措法の改正 早期に国会に提出

菅総理大臣は、「今後、緊急事態宣言による対策に続き、特別措置法の改正、ワクチンの早期接種と、段階を踏んで取り組む。まずは緊急事態宣言により、効果的な対策を行い、なんとしても感染拡大を食い止め、減少傾向に転じさせる」と述べました。

その上で、特別措置法の改正について「罰則などにより強制力を付与することによって、より実効的な対策を可能にしたい。法案の内容に関する議論を急ぎ、早期に国会に提出する」と述べました。

ワクチン 2月下旬までに接種を開始できるよう準備

ワクチンの接種について「製薬会社の治験データの作業を前倒しし、安全性、有効性の審査を行った上で、できる限り、2月下旬までには接種を開始できるように準備する」と述べました。

病床確保 1床あたり450万円の補助を上乗せ

菅総理大臣は、医療提供体制に関して「病床がひっ迫する1都3県で、コロナ対応の病床を大幅に増やすことができるようにする。民間病院をはじめ、新たに対応病床を増やした場合には、1床あたり450万円の補助を、従来の支援に上乗せし、これにより重症者の病床があれば、1床あたりおよそ2000万円の強力な支援が行われるようになる。また、各知事の要請があれば、自衛隊の医療チームをいつでも投入することができるように万全の体制を整えている」と述べました。

若者は大切な命を守るために行動を

菅総理大臣は「最近の1都3県における感染者の半分以上が30代以下の若者だ。皆さんは、感染しても多くの場合、重い症状が出ることはない。しかし、若い方々への感染が、さらなる感染拡大につながっているという現実がある。どうか、両親や家庭、友人など、世代を超えて、大切な命を守るために、自身のことと捉え、行動をお願いをしたい」と若者に向けて呼びかけました。

その上で「1か月後には、必ず事態を改善させる。そのためにも、私自身、内閣総理大臣として、感染拡大防止のために全力を尽くし、ありとあらゆる方策を講じていく」と述べました。

不要不急の外出自粛の徹底を

菅総理大臣は「夜間の飲食や会話を含めた、感染リスクを防ぐため、午後8時以降の不要不急の外出の自粛をお願いをする。ぜひ徹底していただきたい。さらに、スポーツ観戦、コンサートについては、今回、入場者数を厳格化し、一律に入場者数を5000人までにするとともに、場内の飲食を控えるように要請をする」と述べました。

PCR検査体制を拡充

菅総理大臣は「PCR検査については全額、国の負担により機器を整備しており、検査の必要性を踏まえて検査体制を拡充していきたい。必要な方には検査を受けられるようにしたい」と述べました。

財政支出 経済対策活用しながら雇用と事業継続に対応

菅総理大臣は、記者団から感染が収まらなかった場合、飲食が中心となっている対策の範囲を広げ、期間や対象地域の拡大を検討するのか質問されたのに対し「まずは専門家が感染防止対策の急所としている飲食店の営業時間短縮を今回行い、テレワークの7割実現、20時以降の外出自粛、イベントの人数制限の4点をパッケージとして随時、状況を見ながら必要な対策を取っていきたい」と述べました。

その上で、経済への影響について「経済への影響は避けられないと思うが、先に財政支出40兆円、事業規模74兆円の経済対策を決定しているので、こうしたものを活用しながら雇用の維持と事業継続にしっかりと対応していきたい」と述べました。

1か月で何としても感染拡大防止を

菅総理大臣は、大阪府や愛知県の知事が、緊急事態宣言の必要性に言及していることについて「大阪府や愛知県は、緊急事態宣言に準じる対応をすることができるようになっているので、状況を見ながらしっかりと対応していきたい」と述べました。

また、緊急事態宣言の延長の可能性を質問されたのに対し「仮定のことについて私からは答えは控えたい。とにかく1か月で、何としても感染拡大防止をしたいという思いで取り組んでいきたい」と述べました。

もう一度制約ある生活をお願いせざるを得ない

菅総理大臣は「1年近くにわたるコロナとの戦いで、痛みを伴う自粛要請に協力をいただいている。国民の皆さまに心から感謝を申し上げる。今回の世界規模の感染の波は、私たちが想像をしていたものを越え、厳しいものになっている。しかし、私はこの状況は必ず克服できると思う」と述べました。

その上で「そのために、もう一度皆さまに制約のある生活をお願いせざるを得ない。私たちはこの1年間の経験で、多くのことを学んできた。大事なことは、会話のときは必ずマスクをする。さらに外食を控えて、テレワーク7割、夜8時以降の不要不急の外出の自粛、この3点を徹底すれば、必ず感染を抑えることはできる」と指摘しました。

感染対策万全にして東京五輪・パラ実現したい

東京オリンピック・パラリンピックの開催について「感染対策を万全にして安全安心な大会を実現したいという決意だ。世界でワクチンの接種が始まっており、日本でも、2月下旬までにはなんとか予防接種をしたいと思っている。こうしたことにしっかり対応していくことによって、国民の雰囲気も変わってくるのではないか」と述べました。

大阪や愛知は緊急事態宣言を出す状況にはないと思う

菅総理大臣は、記者団から大阪府や愛知県に対して緊急事態宣言を出すかどうか質問されたのに対し「緊急事態宣言を出すには、専門家の委員のご理解をいただくなかで行うわけだが、現時点においては、私はそうした状況にはないと思う」と述べました。

特措法の改正 制限は必要最小限

菅総理大臣は記者会見で、特別措置法の改正について「特別措置法では、国民の自由と権利に制限が加えられるときでも、必要最小限でなければならないと規定されている。この規定に従って適切に対処するのが、政府の基本的な考え方だ。また、憲法上、財産権に関しては、公共の福祉の実現のため、必要がある場合に、法律により合理的な範囲内の制約を加えることがあると規定されている。こうした規定のなかで、適切に対処していきたい」と述べました。

雇用守り事業を継続するため支援策を検討

菅総理大臣は、持続化給付金の第2弾を検討するかどうか問われ、「雇用を守って事業を継続することが大事だと思っている。まずは資金繰りの支援を行っていきたい。1都3県では、緊急事態宣言による飲食店の時間短縮などで厳しい影響を受ける方も出てくると思う。そうした方についてはどのような支援策があるのか検討していきたい」と述べました。

何としても感染を減少傾向に

菅総理大臣は「何としてもこれ以上の感染拡大を食い止め、感染を減少傾向に転じさせる。そのために今回の緊急事態宣言を決断した」と述べました。