緊急事態宣言 飲食店の反応は

緊急事態宣言を受けた飲食店の反応です。

臨時休業する飲食店も

緊急事態宣言を受けて臨時休業する飲食店もあります。

JR新宿駅近くにある居酒屋「和創作空」は、8日から来月7日まで臨時休業することを決め、お知らせの紙を貼り出す作業などに追われていました。

店では営業時間を短縮して対応することも検討しましたが、酒を提供できる時間が午後7時までになると仕事帰りの客に利用してもらうことは難しいということです。

新型コロナウイルスの影響でこれまでも厳しい状況が続いていて先月の売り上げは例年の4割程度だったということです。

店長の門倉和幸さんは「多くのお客様は午後6時、7時に仕事が終わるので、滞在時間が30分とか1時間になれば、来ていただけない。20年近く飲食店をやってきたが働きたいけど働けないのは初めてで、従業員の生活を考えるとすごく複雑な思いだ。いつまで我慢したら笑顔で会えるのかなと不安だ」と話していました。

銀座の飲食店 影響を懸念の声

緊急事態宣言をめぐって東京 銀座の飲食店では経営への影響を懸念する声があがっています。

銀座で130年以上続く、すし店の4代目、杉山衛さんです。

7日から年明けの営業を始めましたが緊急事態宣言が出ることを知った客から、すでに今月中の予約のキャンセルが5件あったということです。

こうした中、杉山さんが心配しているのは自身が理事長を務める「銀座料理飲食業組合連合会」の加盟店の経営状況です。

現在、およそ360店が加盟していますが、去年の緊急事態宣言のあと海外から訪れる客や接待の減少でほとんどの店で売り上げが下がったままの状態が続いているということです。

組合では来週、緊急の理事会を開き、午後8時までの営業時間の短縮の要請に応じる予定ですが、店主たちからは経営へのさらなる影響を懸念する声があがっているということです。

杉山さんは「苦しい経営が続き、我慢できる店とできない店があるので、春以降、相当な数の店が営業を続けられなくなるのではと危惧している。店主たちの不安はひじょうに強いので、行政には従業員の雇用を確保する助成金を続けてもらうなど安心できるような補償をしてほしい」と話していました。

宅配に力入れるラーメン店も

緊急事態宣言に伴う営業時間の短縮を求められる見通しの飲食店のなかには、宅配に力を入れ、何とか売り上げを確保しようという店もあります。

このうち、東京 目黒区のラーメン店は、通常は午後11時半までの営業時間を店内での飲食は午後8時までに短縮する一方、宅配での販売は午後8時以降も続けて売り上げの確保を図る方針です。

店の主力商品は、そば粉などが原料の細麺にとうがらしのきいたスープを合わせる辛麺で、去年の緊急事態宣言の時には宅配の売り上げが大きく伸びて新しい顧客の開拓につながり、この1年間は前年と比べて平均でおよそ2倍に増えて好調だということです。

「辛麺屋一輪目黒店」の中村友則店長は「感染者が大幅に増えていて、今回の緊急事態宣言による人出や店の売り上げへの影響は前回以上に大きいと思うので危機感は強いが、何とかやっていくしかない」と話していました。

時短要請に「応じられない」とする飲食店も

緊急事態宣言にともなう営業時間の短縮の要請について「応じられない」とする飲食店も出ています。

東京 杉並区にある居酒屋は、今後も午後8時以降の営業を続けるとしています。

経営者の伊與田康博さんは「仕事帰りのお客さんはだいたい午後6時か7時に来られるので、7時でアルコールの提供をやめて8時に閉店というのは難しい。家に帰る前に1日の疲れを癒やしたいというお客さんに場所を提供しているわけで、お金がどうこうよりはお客さんに対する気持ちから店を早く閉めることはできない」と話しています。

店は、個人の客が中心でグループでの来店は少ないということで、店内の換気や消毒などの感染対策をこれまで以上に徹底して行うということです。

伊與田さんは「協力金を支払うといっても店によって必要な経費などの額が全然違うので、実態としてどこまで補償されるのかがはっきりしていない。またわれわれ飲食店がお世話になっている酒屋さんや肉屋さんおしぼり屋さんなど、店に関わっている取り引き業者の売り上げにも影響するがその補償はどうなるのかも分からない。感染対策が重要なことは分かるし要請に応じたい気持ちも大きいが、現実的には応じることはできない」と話していました。

居酒屋チェーンの対応(1月7日現在)

居酒屋チェーンの多くは8日から店舗の営業時間を短縮したり休業したりすることを決めています。

このうち、居酒屋チェーンの、
▽「甘太郎」などを展開するコロワイド、
▽「ミライザカ」などを展開するワタミ、
▽「庄や」を展開する大庄は、
8日から宣言が解除されるまでの間、1都3県にある店舗について、営業時間の短縮や休業を行うことを決めました。

「つぼ八」は、東京と神奈川にある4つの直営店について、8日から休業、または営業時間を午後8時までに短縮します。

また1都3県にあるフランチャイズの26店舗は、政府や自治体の要請に沿って対応するよう呼びかけます。

「塚田農場」などを運営するエー・ピーホールディングスや串カツ田中は要請の内容を踏まえ、営業時間の見直しなどの対応を検討しています。

外食チェーンの対応(1月7日現在)

ファミリーレストランやファストフードなどの外食チェーンでは、8日以降の営業の短縮や休業を決める動きが相次いでいます。

ファミリーレストランでは、サイゼリヤが要請に沿って、営業時間を短縮することを決めました。

「ガスト」「バーミヤン」を展開するすかいらーくホールディングス、デニーズ、ロイヤルホストは営業時間を見直す方向で検討しています。

このほか、リンガーハットが営業時間の短縮を決めたほか「丸亀製麺」などを運営するトリドールホールディングス、それに幸楽苑ホールディングスも営業時間の短縮などを検討しています。

牛丼チェーンは、すき家、吉野家、松屋は、いずれも現在は1都3県では酒類の提供を止めて、深夜営業や24時間営業を続けていますが、緊急事態宣言以降の営業時間は、テイクアウトも含めて要請の内容を見たうえで最終的に判断する方針です。

ファストフードでは、モスバーガーが12日からテイクアウトと配達も含め午後8時に閉店します。
ケンタッキーフライドチキンはテイクアウトの対応も含めて、店舗の営業時間を短縮すると決めています。
マクドナルドとロッテリアは「要請が出たら検討する」としています。

コーヒーチェーンでは、タリーズコーヒーが宣言の対象となる1都3県で午後8時以降も営業している260店舗について、営業時間を短縮する方針です。
スターバックスとドトールコーヒーは宣言を踏まえて、8日以降の営業を検討するとしています。