兵庫 丹波市長 “コロナ対策一律5万円” 財源確保できず

兵庫県丹波市の林市長は、新型コロナウイルス対策としてすべての市民に一律5万円を給付する公約を掲げて去年11月に初当選しましたが、財源を確保できず、2万円を商品券として配る議案を6日の市議会に提出しました。市長就任から1か月足らずで公約を修正する形となり、市民から批判の声があがっています。

兵庫県丹波市の林時彦市長は、去年11月の市長選挙で新型コロナウイルス対策としてすべての市民に一律5万円を給付する公約を掲げ、現職を破って初当選しました。

しかし財源を確保できず、市内の店舗だけで使える2万円の商品券を配付する方針を決め、6日の市議会に必要な議案を提出しました。

商品券の財源は、国の交付金を充てたり、予定していた水道料の減免を取りやめて捻出するということです。

市長就任から1か月足らずで公約を修正する形となり、市民からは批判の声があがっています。

林市長は、記者会見で「職員と相談してこういう結論になった。来週12日の市議会の本会議で答えたい」と繰り返し、詳しい説明を避けました。

公約修正に市民は

70代の男性は「自分が支持した候補だったが、こんなに早く対応を変えたのは残念で、選挙対策だったのかと感じる。きちんと説明すべきだ」と話していました。

60代の女性は「5万円がもらえると期待していたのに短い期間で修正してしまって、自分の子どもたちも怒っています」と話していました。

一方、40代の男性は「公約は知っていたが、財源もないので5万円がもらえるとは、そもそも最初から期待してなかった。2万円も実現できないだろう」と話していました。

コロナ対策 5万円給付の公約 修正の経緯

兵庫県丹波市の林時彦市長は去年11月の市長選挙で、新型コロナウイルス対策として、すべての市民に5万円を給付する公約を掲げ、自民党と公明党が推薦した現職を破って初当選しました。

当選した際、林市長は「各家庭がそれぞれコロナ対策でほしい物や、『本当はこれはやってくれたらいいのにな』と思うことに使ってもらいたいということで、5万円の給付を公約に掲げた。できると思っている」と意欲を示していました。

さらに12月7日に就任し、初登庁した日には、5万円の給付に必要な経費はおよそ32億円に上るという試算を明らかにしたうえで、「庁舎の建て替えをやめれば23億円が確保でき、国からのコロナ対策費を合わせれば財源は十分にある。なるべく早く実現したい」と実現に自信を見せていました。

しかし、市の関係者によりますと、就任後、財政当局との調整の中で新型コロナウイルス対策に財源を残す必要もあるなどとして、5万円の給付は断念したということです。

また、地域経済の活性化につなげる必要があるという声も踏まえ、現金ではなく商品券として2万円分を配る方針に修正しました。

商品券の配付に必要な補正予算案は6日、市議会に提出され、今月19日に採決が行われることになっています。