“東京 年末までの人の動き 大きな減少見られず” 専門家会合

政府が7日に緊急事態宣言を出すことを決定する前に、新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ、東京都では人の動きの大きな減少が見られず、首都圏での感染拡大が最近の地方での感染の発生にも影響していると考えられると指摘しました。新年会や、買い物の際の混雑を避けるなど、感染機会を減らすことが必要だとしています。

専門家会合の分析によりますと、東京都では年末まで人の動きの大きな減少が見られず、飲食の場が主な要因となっている感染拡大が周辺の県にも波及しているとしていて、直近1週間の新たな感染者の数は、緊急事態宣言の対象地域では、
▽東京都だけで全国の4分の1
▽千葉県、埼玉県、神奈川県を加えた1都3県で、全国の半分を占めています。

また、国立感染症研究所が示したデータによりますと、東京都では去年11月下旬に飲食店に対して営業時間の短縮要請が出された後も、新宿 歌舞伎町や新宿駅での人の動きは減らず、感染者1人が何人に感染させるかを示す「実効再生産数」は、東京23区では感染が拡大に向かう「1」を上回る状態が続いています。

そして大都市圏での拡大が、地方での感染の発生にも影響しているとして、大都市の感染を抑えなければ地方での感染を抑えることも困難になると指摘しています。

重症者や死亡者も増加が続く中で、通常の医療との両立が困難な状況が広がることが懸念されるうえ、入院を調整することも難しくなっているとしています。

会合で示されたデータでは、入院先や療養先が決まらずに調整中になっている人の数は、東京都では先月12日までの1週間では1000人未満だったのが、今月2日まででは3000人余りと急増しています。

このため、専門家会合は「新年会の開催や参加は控え、買い物も混雑を避けるなど、感染する機会の増加につながる行動を変えることが求められる」と強く呼びかけました。

さらに、イギリスなどで拡大している感染力が強いとされる変異したウイルスについて、国内では海外渡航歴のある人と、その接触者からのみ検出されているものの、急速に拡大するリスクがあるとして、引き続き監視が必要だとしています。

脇田隆字座長は「北海道や大阪では対策を強化したあとに効果が見られた一方、東京や首都圏では効果が見られず、対策は不十分と考えられる。飲食店などの時短営業など、社会全体でリスクを減らしていく局面に入ったと考えている」と話しています。

田村厚生労働相「さらなる病床確保したい」

田村厚生労働大臣は、会合の冒頭「厳しい感染状況で、きのうは5000人になるほどの感染拡大になっており、大変緊張感を持っている。1都3県を中心に、全国的には感染者が増えている。『静かな年末年始』をお願いしてきたが、東京では、なかなか人出が減らない状況で、飲食店の営業時間の短縮をお願いし、同時に、緊急事態宣言に向けた対策を検討している。年末年始の医療従事者の尽力にお礼を申し上げるが、厚生労働省も都道府県と連携し民間の医療機関を含めて、さらなる病床を確保していきたい」と述べました。