イラン 高濃縮ウランの製造能力を強調 米次期政権に揺さぶりか

イランは濃縮度20%のウランの製造を開始したことについて、今後も安定して製造できると強調する一方、アメリカの制裁が解除され、各国との経済関係が正常化するのであれば、濃縮の強化を取りやめるとしていて、ウラン濃縮を外交カードにバイデン次期政権に揺さぶりをかけるねらいもあるものとみられます。

イラン政府は4日、中部・フォルドゥの核施設で濃縮度20%のウランの製造を始めたことを明らかにしました。

濃縮度20%以上のウランは、「高濃縮ウラン」に分類され、6年前の核合意で定められた平和利用の範囲内である濃縮度3.67%を大幅に逸脱するもので、核兵器に転用できるウランを製造するまでの時間の短縮につながると指摘されています。

これについて、原子力庁のサレヒ長官は5日「24時間以内にわれわれは濃縮度20%のウランを製造できるようになった。安定して製造できている」と述べ、月に8キロから9キロを製造する能力があるとして生産性の向上を強調しました。

その一方で、ザリーフ外相は4日、ツイッターに「すべての関係国が完全に合意を履行すれば、われわれの措置も撤回可能だ」と投稿し、アメリカの制裁が解除され、ヨーロッパなど各国との経済関係が正常化するのであれば、濃縮の強化を取りやめ、合意を順守するとしています。

イランとしてはウラン濃縮を外交カードにアメリカのバイデン次期政権に揺さぶりをかけるねらいもあるものとみられます。

米 新たな経済制裁を発表

これに対して、アメリカのトランプ政権は、イランがテロを支援したり大量破壊兵器を拡散させたりする資金を断つためだとして、新たにイランの鉄鋼関連メーカーなどに制裁を科すと発表しました。
アメリカ財務省は5日、イランの鉄鋼や金属のメーカーが、テロ支援などを行っているイラン政府に資金を提供しているとして、経済制裁を科すと発表しました。

対象には、イランの企業に物資を提供した中国企業も含まれていて、今回の制裁によって、アメリカ国内の資産が凍結されるほか、アメリカの金融機関との取り引きが禁止されます。

ムニューシン財務長官は声明で「トランプ政権は、テロリストを支援し、大量破壊兵器を求めるイラン政府への資金源を断つことに注力する」と強調しています。

トランプ政権は、原油の全面的な禁輸措置を科すなどイランを経済的に孤立させる政策を進めてきましたが、イランが核合意を大幅に逸脱する濃縮度20%のウランの製造を開始するなか、制裁を一段と強化した形です。

今後は、今月20日に就任するバイデン次期大統領が、イランにどのように対応していくかが、焦点になりそうです。