英 新型コロナで営業停止の飲食店などに最大126万円支給を決定

イギリス政府は、変異した新型コロナウイルスの感染拡大によって経済活動への厳しい制限が長引くと見込まれることを受けて、営業ができなくなった飲食店や小売店に対し、給与の肩代わりといった従来の措置に加えて、日本円で最大126万円を支給することを決めました。

イギリスでは感染力が強いとされる変異したウイルスが広がっていて、5日からロンドンを含むイングランドやスコットランドで市民の外出制限が始まるなど、全土で厳しい措置がとられています。

飲食店と、生活必需品を扱う店以外の小売店は、原則として営業が禁止されていて、こうした措置は来月まで続くと見込まれています。

これを受けてイギリス政府は5日、営業ができなくなった飲食店や小売店などを対象に規模に応じて、1店舗あたり4000ポンドから9000ポンド、日本円で56万円から126万円を支給すると発表しました。

支給は一度かぎりですが、月額で最大42万円の補助や、従業員を雇い続ければ給与の80%を肩代わりするといった従来の支援は継続するとしていて、支給はこれらへの上乗せとなります。

スナク財務相は「休業を求められ、最も影響を受ける事業者を支援するためで、雇用の維持やビジネスの支援に引き続き力を入れていく」と話しています。

ただ、経済界は、飲食店や小売店と取り引きがある事業者にまで対象を広げるべきだと訴えていて、経済への影響を食い止めるには不十分だという指摘も出ています。

ヨーロッパ各国の支援は

感染拡大が深刻なヨーロッパでは各国で外出や経済活動の制限が続いています。

【フランス】

フランスでは、去年11月末に外出制限や小売店の営業の制限が大幅に緩和されましたが、レストランやカフェは店内での営業が引き続き禁止され、観光客の減少からホテルも厳しい経営を強いられています。

このため政府は、飲食店やホテルを対象に、休ませている従業員の給与の70%を肩代わりする対策を続けているほか、去年11月末には店の規模や売り上げの減少幅に応じて最大で20万ユーロ、日本円でおよそ2500万円を支給する対策を発表しました。

【ドイツ】

ドイツは、仕事が減った従業員について、賃金が減った分の最低60%を国が雇用主を通じて給付する制度を拡充し、支給期間を最大24か月に延長することで、雇用の維持を図っています。

また、去年11月から持ち帰りなどを除く営業が禁止されている飲食店などに対しては、前の年の同じ月の売り上げの最大75%を支給し、今月からは賃料など店舗を維持する経費の最大90%を支援することにしています。

メルケル政権のもと、ドイツではおととしまでの6年間、新規の国債を発行せずに均衡財政を維持してきましたが、ウイルスの感染拡大を受け、去年、一転して新規国債を発行することを決め、企業の支援などを進めています。

【スペイン】

スペインでは、全国で夜間の外出が禁止されているほか、レストランなどの飲食店は営業しているものの、入店できる客の数が制限され、ホテルも観光客の減少で大きな影響を受けています。

スペイン政府は、休ませている従業員の給与の70%を肩代わりしているほか、先月には、特に影響の大きい飲食店やホテルなどを対象に、社会保険料や税の支払い延期、それに賃料の減免に向けた措置を打ち出しました。