コロナ病床など清掃 対応可と回答の事業所 1割未満 厚労省調査

新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、医療機関の負担になっているのが病床などの清掃業務です。一方、厚生労働省が、業務を委託できる業者について調査した結果「対応できる」と回答した事業所は全国で80余りと、全体の1割を下回ったことが分かりました。

新型コロナウイルスの患者を受け入れている医療機関の一部では、看護師などが、ふだん担当しない病床の清掃やリネンの交換などの業務に追われ、医療がひっ迫する要因の1つになっています。

このため厚生労働省は業務を委託できる業者がいないか、先月、業界団体を通じて緊急の調査を行いました。

その結果、ふだん病院の清掃業務などを請け負っている全国の1000の事業所のうち88の事業所が「新型コロナウイルスの患者がいる医療機関にも対応できる」と先月25日の時点で回答したということです。

所在地で多いのは、東京都と大阪府、愛知県、それに埼玉県で、個別の事業所の名前は風評被害につながるおそれがあるため公表せず、医療機関には都道府県を通して伝えたということです。

一方、締め切りまでに回答がなかった事業所も4割余りあったということで、厚生労働省は「対応できる業者が足りているかどうかは現時点で判断できないが、風評被害への懸念や従業員の反対など、さまざまな理由で手を挙げていない業者がいると見ている。より多くの協力を得られるよう呼びかけたい」としています。

業界団体「われわれにも援助を」

一方、業界団体は、国からの費用の援助などの支援策が必要だと指摘しています。

全国ビルメンテナンス協会の堀口弘常務理事は「防護服や消毒用品、従業員のPCR検査など、業者の負担は大きい。負担に耐えられなければ仕事を受けることができない。国には医療機関と同じように、われわれのような事業者にも援助をしてほしい。そうすることで、結果として医療機関の負担も少なくなる」と話しています。

厚労省 清掃業務に補助金の活用可能に

厚生労働省は、新型コロナウイルスの患者を受け入れている医療機関に対し、病床の清掃業務などを業者に委託する場合、国の補助金を活用できるようにするなど支援しています。

厚生労働省は「看護師などの負担を減らして必要な医療を提供できるよう補助金を使って業務を委託してほしい」としています。