東京23区の成人式 15区が会場に人集める従来のやり方を中止

今月11日の成人の日を前にNHKが東京23区の自治体を取材したところ、5日午後4時半の時点で、およそ65%にあたる15の区が会場に新成人を集める従来のやり方での成人式の中止を決めたことが分かりました。

新型コロナウイルスの感染拡大で、首都圏の1都3県を対象に緊急事態宣言が出される流れとなる中、NHKは東京23区の自治体に予定どおり成人式を行うかどうかについて取材しました。

5日午後4時半の時点の各区の状況を取りまとめたところ、世田谷区、江東区、墨田区などおよそ65%にあたる15の区が会場に新成人を集める従来のやり方での成人式の中止を決めたことが分かりました。

このうち、世田谷区は、新成人を会場に集めない形で成人式を開催し、区長の式辞などの式典の様子をインターネットでライブ配信することにしています。

また江東区は、式典を中止し、代わりに、区内出身の著名人からのお祝いのメッセージなどを録画した特別番組をインターネットとケーブルテレビで配信する予定だということです。

一方、杉並区、新宿区、中野区の3つの区は、感染対策を行ったうえで、予定どおり会場に新成人を集めて成人式の式典を開催する予定です。

このうち、杉並区では、式の回数をこれまでの倍の1日4回に増やして、1回当たりの参加者を減らす対策をとったうえで、時間も短縮して行うということです。

このほか、渋谷区、品川区、豊島区、練馬区、江戸川区の5つの区は、開催方法を検討中だとしています。

会場で開催 中止の15区

千代田区・中央区・港区・文京区・台東区・墨田区・江東区・目黒区・大田区・世田谷区・荒川区・板橋区・足立区・葛飾区・北区。

会場で開催予定の3区

新宿区・中野区・杉並区。

未定の5区

品川区・渋谷区・豊島区・練馬区・江戸川区。

官房長官「自治体などで適切に判断を」

加藤官房長官は、記者会見で「成人式などについては、政府の分科会から『ステージ3』相当の地域では、オンラインを活用した形での開催や、時期や時間の分散化など、在り方を慎重に検討するよう提言をいただき、周知を行ってきた。成人式をはじめとしたイベントの開催要件についてはそれぞれの自治体、主催者において、適切に判断いただきたい」と述べました。

港区 “中止のお知らせ” 急きょ郵送

港区は、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、出席者を初めて事前の受け付け制にして、家族が会場の敷地内に立ち入ることも禁止するなど感染対策を徹底して、およそ700人の新成人を招いて実施する予定でした。

しかし、首都圏の1都3県を対象に緊急事態宣言が出される流れとなる中、区は成人式の式典や写真撮影スポットの設置を中止することを決めました。
これを受けて5日は急きょ、区の担当者が中止を知らせる文書を新成人に郵送する作業を行いました。

港区は成人式を中止する代わりに、小学校の恩師からのメッセージ動画を配信するなどして新成人を祝いたいとしています。

港区子ども家庭課の野上宏課長は「一生に一度の成人式なので、なんとか開催できるよう進めてきたが、緊急事態宣言が発令される流れになるなか、断腸の思いで中止にさせていただいた。どうかご理解いただきたい」と話していました。

墨田区 新成人が“オンライン式典”の準備

墨田区は、今月11日におよそ2000人の新成人を招いて成人式を開く予定でしたが、首都圏の1都3県を対象に緊急事態宣言が出される流れとなる中、3日に新成人を集めて行う従来の形での成人式の開催を中止することを決めました。

区では代わりに、区長の式辞やお祝いのオーケストラによる演奏など、式典の様子をオンラインで生中継することにしています。

これを受けて5日は、式の実行委員を務める新成人ら7人が区役所に集まり、準備を行いました。
実行委員は、式に出席できない代わりに晴れ着の写真などを共通のハッシュタグをつけてSNSに投稿してもらう新たな取り組みの準備も進めていました。

式の実行委員長を務める三浦丈さんは「人生で1度しかない式なので残念です。晴れ着姿で会場に行きたくて悲しんでいる友達もいるので、今は我慢をして状況が落ち着いたら集まりたいです」と話していました。

墨田区文化芸術振興課の岐部靖文課長は「区としても苦渋の決断だった。新成人本人も家族も残念な気持ちだと思うが、違った形で新成人を励まし、盛り上げてあげたい」と話していました。