タクシー6人死傷事故 運転手 くも膜下出血を起こしていたか

4日夜、東京 渋谷区でタクシーが歩行者を次々にはね、1人が死亡、5人が重軽傷を負った事故で、タクシーの73歳の運転手が当時、くも膜下出血を起こしていた疑いがあることが捜査関係者への取材で分かりました。警視庁は運転中に意識を失い、そのまま交差点に進入した可能性があるとみて調べています。

4日午後7時すぎ、渋谷区笹塚の甲州街道で、タクシーが横断歩道を渡っていた歩行者を次々にはね、近くに住む49歳の女性が死亡したほか、小学生の9歳の男の子を含む5人が重軽傷を負いました。

また、タクシーの73歳の男性運転手も病院に搬送され、手当てを受けています。

警視庁によりますと、タクシーのドライブレコーダーには事故の前、運転手がうつむいた状態で体を揺らしている様子が写っていたということですが、診断の結果、運転手が当時、くも膜下出血を起こしていた疑いがあることが捜査関係者への取材で分かりました。

また、タクシーが蛇行したり、加速や減速をしたりする様子も写っていたということで、警視庁は運転手が運転中に意識を失い、そのまま赤信号の交差点に進入した可能性があるとみて詳しい状況を調べています。

防犯カメラにはタクシーの映像

現場からおよそ1キロ離れた場所に設置された防犯カメラには、事故の数分前のタクシーの映像が捉えられていました。

片側3車線の国道の一番左側の車線を、画面の手前から奥に向かってゆっくりと走る様子が写っています。

この画面では確認できませんが、警視庁によりますと、タクシーのドライブレコーダーにはこの場所を通る前から、運転手がうつむいた状態で体を揺らしたり、タクシーが蛇行したりする様子が写っていたということです。

運転手の脳卒中 対策進まず

国土交通省によりますと、タクシーやバス、それにトラックの運転手のうち、くも膜下出血や脳梗塞などの脳卒中が原因で事故を起こしたり、乗務を中断したりした人は2018年までの6年間で合わせて212人に上っています。

脳卒中は、意識障害などによって事故を回避する行動をとれなくなるため、重大な事故を引き起こす原因になりますが、最近では運転手の高齢化が進み、リスクが高まる傾向にあるということです。

特に、タクシーの運転手は3年前の時点で平均年齢が59.9歳と、バスの51.2歳やトラックの47.3歳と比べて高くなっています。

このため、国土交通省は2018年に運転手の脳卒中への対策をまとめたガイドラインを策定し、事業者に対し、特にリスクが高いとされる高齢の運転手を中心に、脳ドックなどの検査を3年に1回程度は受けさせるよう求めました。

しかし、1人当たり数万円の費用がかかるうえ、事業者への補助も限られているため、検査は十分に行われていないのが現状だということです。

全国303のタクシー会社を対象に行われた昨年度の調査では、検査の必要性を感じていると回答した会社が82%に上った一方、実際に検査を受けさせていると答えたのは9%にとどまっています。

今回の事故を受けて、国土交通省は体調に異変を感じたらすぐに乗務を中断するよう運転手に注意を呼びかけるとともに、事業者に対し、運転手に検査を受けさせるよう改めて要請することにしています。