春闘 「連合」ベア要求方針も業績厳しい企業中心に交渉難航か

新型コロナウイルスの影響が続く中、ことしの春闘で「連合」はベースアップの要求を掲げ、いわゆるエッセンシャルワーカーなどの待遇改善を求めていく方針です。
これに対して「経団連」は、雇用の維持が優先的な課題になるとしたうえで一律の賃金引き上げには慎重な考えを示していて、業績が厳しい企業を中心に交渉は難航することが予想されます。

新型コロナウイルスの感染拡大で経済や雇用への影響が広がる中でのことしの春闘は、今月下旬に事実上、スタートすることになっています。

業績が悪化する企業が相次ぐ中、一部の労働組合からは賃金引き上げの要求に慎重な意見が出されていました。

しかし「連合」は、医療や物流など社会を支えるいわゆるエッセンシャルワーカーや中小企業で働く人たちの待遇改善などを進めるべきだとして、基本給を引き上げる「ベースアップ」に相当する分として2%程度の賃金引き上げを要求する方針を決めました。

連合の神津会長は「経済が相当の打撃を受けていることは事実だが、経済の好循環に向けた賃上げの流れを維持しないといけない。コロナ禍の社会を成り立たせるために働いているエッセンシャルワーカーを含めた処遇をしっかり底上げしていくことが重要だ。雇用の確保と賃金引き上げの両方に取り組んでいかなければならない」と話しています。

一方で「経団連」は、感染の再拡大で不透明感が強まる中、雇用の維持などが優先的な議題になるという認識を示しています。

また、「業種の横並びや各社一律の賃金引き上げを検討することは現実的ではない」として、ベースアップには慎重な方針を示す見通しです。

労働組合にとっては雇用の確保を徹底しながら賃金の引き上げをどこまで実現できるかが大きな焦点となりますが、業績が厳しい企業を中心に交渉は難航することが予想されます。