緊急事態宣言検討に医療現場 “病床ひっ迫” “患者減に期待”

菅総理大臣が緊急事態宣言の発出を検討する考えを示したことについて、医療現場からは、これをきっかけに人々の意識がかわり、患者の減少につながってほしいという声もあがっています。

重症や中等症の入院患者を受け入れている東京 三鷹市の杏林大学病院では、去年11月以降、満床に近い状態が続いていて、年末年始も新たな患者が運び込まれていました。
菅総理大臣が緊急事態宣言の発出を検討する考えを示したことについて、救急総合診療科の長谷川浩 教授は「緊急事態宣言が出ることになれば人の集まりを抑えられ、少なくともクラスターが起きる機会を減らす効果はあるのではないか。医療現場はかなりひっ迫した状態なので、これをきっかけに多くの人に改めて感染予防について考えてもらいたい」と話していました。

感染者減少に期待の声も

年末年始に感染者が急増した神奈川県内の医療現場からは、宣言発出によって感染者の減少につながることへの期待の声が聞かれました。

神奈川県厚木市の厚木市立病院では、新型コロナウイルスなど成人の感染症の患者を受け入れる病床が18床ありますが、先月中旬以降、入院患者が増え、現場の負担が重くなっているということです。

特に、年末年始にかけては患者が急増し、3日と2日の2日間は、残り1床になるまで病床がひっ迫したということです。

また、高齢で介護が必要な症状の重い患者が増えているため、より感染予防が求められ、現場では高い緊張感が続いているということです。

感染の管理を担当する宮川香美看護師は「患者が退院したら、すぐに入院患者が入ってくるという状況が繰り返されている。年末年始に限っては満床に近い状況で、現場はひっ迫している。病院全体で人員が不足していてスタッフは疲弊している」と現状を述べました。

そのうえで「緊急事態宣言が出れば、多くの人が会食や外出を避けて感染者数が少なくなり、現場の負担が緩和されることが期待できる。一般の方には、感染を広げないための協力をお願いしたい」と話していました。