コロナ禍で初の年末年始 人の動きに変化【データで読み解く】

コロナ禍で迎えた初めての年末年始。帰省や初詣など人の動きはどう変化したのでしょうか。
携帯電話のビッグデータの分析で得られた結果は…

元日の人出は…

NHKは、NTTドコモが携帯電話の基地局からプライバシーを保護した形で集めたビッグデータを使って、ことしの元日の正午の東京都内の人の数を500メートル四方ごとに分析し、去年と比較しました。
去年より人が増加したエリアはオレンジ色、人が減少したエリアは青色、変わらないエリアは白で表しました。

去年より人が増加したオレンジ色は、東京の23区の主に山手線の外側から多摩地方の住宅地に広がっています。

一方、去年より人が減った青色は、主に山手線の内側の渋谷や新宿、銀座などの繁華街や、お台場や羽田空港などの湾岸エリアに集中しています。

ビッグデータからは、多くの人が外出を控えたとみられることが明らかになりました。

初詣 各地で減少 分散参拝も

初詣の人出はどのように変化したのか。携帯電話のビッグデータの分析からは、多くの人が初詣を控え、分散する傾向もみられることが分かりました。

NHKは、IT関連企業の「Agoop」が利用者の許可を得て個人が特定されない形で集めた携帯電話の位置情報のデータを使って、各地の神社や寺の周辺に12月26日から今月3日までの間に訪れた人出を分析し、前の年と比較しました。
それによりますと、例年全国で最も多くの参拝者が訪れるとされる
東京 渋谷区の明治神宮は、正月三が日の人出は前の年より8割近く減っていました。1日当たりの人出は、ほぼ横ばいでした。

東京 台東区の浅草寺や千葉県成田市の成田山新勝寺は、三が日は7割近く減っていました。
このほか三が日の人出は
▽札幌市中央区の北海道神宮、
▽神奈川県鎌倉市の鶴岡八幡宮、
▽神奈川県川崎市の川崎大師、
▽名古屋市熱田区の熱田神宮、
▽三重県伊勢市の伊勢神宮、
▽京都市伏見区の伏見稲荷大社、
▽大阪市住吉区の住吉大社、
▽福岡県太宰府市の太宰府天満宮、
いずれもおよそ8割から5割減っていました。
また、年末から分散して参拝に訪れるよう呼びかけていた、さいたま市大宮区の武蔵一宮氷川神社では、年末の参拝者が前の年より1割余り増え、期間中ほぼ横ばいで、分散の傾向が見られました。

武蔵一宮氷川神社によりますと、先月15日ごろから参拝者が増え始め、その後は人出は増えず同じ状況が続いたということです。

武蔵一宮氷川神社は「分散参拝の呼びかけの効果が出たと感じている」と話していました。
人の移動の分析に詳しい早稲田大学の佐々木邦明教授は、今回の結果について「混雑しない日や時間帯を選んで参拝する“分散参拝”や年明け前の“幸先詣”が行われたとみられる」と分析しています。

都内からの移動 前年比3割減

東京からほかの道府県に移動した人は、前の年と比べて3割余り減少したとみられることが、携帯電話のビッグデータの分析でわかりました。

NHKは、NTTドコモが携帯電話の基地局からプライバシーを保護した形で集めたデータを使って、先月29日から今月3日にかけて東京都からほかの道府県に移動した人の数について前の年の年末年始と比較しました。(15歳から79歳。人の移動の多い午後3時台の人数を基に割合で比較)

それによりますと、東京都からほかの道府県に移動した人は推計で144万人で、前の年の同じ時期と比べて32%減少しました(前年211万人)。
地方別で見ますと、減少した割合が大きい順に、
▽中国・四国地方が58%の減少、
▽東北地方が57%、
▽中部地方が42%、
▽近畿地方が42%、
▽九州地方が40%、
▽北海道が34%、
▽関東地方が19%の減少となりました。

東京と生活圏が重なる関東地方は2割程度の減少にとどまりましたが、中国・四国地方や東北地方は6割近く減少するなど、遠方への移動は控えられた結果となりました。
また年齢別に20代から70代を3つの年代に分けて比較すると、
▽40代から50代が38%の減少と最も大きく、
次いで
▽60代から70代が32%の減少、
▽20代から30代が30%の減少となりました。
人の移動の分析に詳しい早稲田大学の佐々木邦明教授は、今回の結果について、大雪の影響もあるとしたうえで「地域別に見ると関東地方はふだんから隣県と行き来しているので減少幅が小さくなっているが、遠方の地域は6割減など大きく減少していて帰省などを控えた結果と見られる。40代50代で大きく移動が減少していることも、孫をつれて帰る世代の帰省が減ったのではないか」と分析しています。