新型コロナ 菅首相 緊急事態宣言の検討表明 1都3県今週中にも

新型コロナウイルス対策で、菅総理大臣は、東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県を対象に特別措置法に基づく緊急事態宣言を発出することを検討する考えを表明しました。政府は、今週中のできるだけ早い時期に宣言を出し、期間は、1か月程度とする方向で調整を進めています。

期間1か月程度で調整

菅総理大臣は、年頭にあたって、4日午前、総理大臣官邸で、記者会見を行いました。

この中で、菅総理大臣は新型コロナウイルス対策に関連し「先月の人出は多くの場所で減少したが、特に東京と近県の繁華街の夜の人出はあまり減っていなかった。経路不明の感染原因の多くは、飲食によるものと専門家が指摘しており、夜の会合を控え、飲食店の時間短縮にご協力いただくことが最も有効だ。このため1都3県について、改めて先般、時間短縮の20時までの前倒しを要請した」と述べました。

そのうえで、東京、埼玉、千葉、神奈川は、感染者数が減少せず極めて高い水準にあり、より強いメッセージを出す必要があるとして、1都3県を対象に新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言を発出することを検討する考えを表明しました。

そして「飲食の感染リスクの軽減を実効的なものにするために、内容を早急に詰める。政府として、諮問委員会にかけさせていただいて、そこで考え方をうかがう」と述べました。

政府内には、「週末を待つことなく発出すべきだ」という意見があり、諮問委員会や国会への報告などを経て、今週中のできるだけ早い時期に東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県を対象に緊急事態宣言を出し、期間は、1か月程度とする方向で調整を進めています。

緊急事態宣言「より強いメッセージが必要」

菅総理大臣は、記者会見で、緊急事態宣言について「北海道や大阪など時間短縮を行った県は結果が出ている。東京と、いわゆる首都3県においては、三が日も感染者数が減少せずに極めて高い水準で、1都3県で全国の半分という結果が出ている。こうした状況を深刻に捉えて、より強いメッセージが必要であると考えた。こうした考え方のもとに、政府として諮問委員会の考え方をうかがう。具体的にいつということよりも、まずは飲食に対する実効的な対策をこれから詰める、その中で表明したい」と述べました。

緊急事態宣言「限定的集中的に行うことが効果的」

菅総理大臣は、緊急事態宣言について「およそ1年の中で学んできて、どこが問題かということは、かなり明確になっている。そういう考え方からすれば、限定的に集中的に行うことが効果的だと思っている」と述べました。
そして、菅総理大臣は「給付金と罰則をセットにして、より実効的な対策をとるため、新型コロナウイルス対策の特別措置法の改正案を通常国会に提出する」と述べました。

ワクチン 来月下旬までに接種開始へ準備

新型コロナウイルス対策で、菅総理大臣は、記者会見で、できるかぎり来月下旬までにワクチンの接種を開始できるよう、政府として準備を進めていく考えを表明しました。

菅総理大臣は「感染対策の決め手となるワクチンについては当初、2月中に製薬会社の治験データがまとまるということだったが、日本政府から米国本社に強く要請し、今月中にまとまる予定だ。そのうえで安全性、有効性の審査を進め、承認されたワクチンをできるかぎり2月下旬までには接種を開始できるよう、政府一体となって準備を進めている」と述べました。

そのうえで「まずは医療従事者、高齢者、高齢者施設の従業員の皆さんから順次開始をしたい。私も率先してワクチンの接種をする」と述べました。

変異ウイルス 入国規制を強化

菅総理大臣は、記者会見で、変異した新型コロナウイルスが各国で確認されたことを踏まえ「外国人の新規入国を原則として拒否することにし、入国規制を強化する。ビジネス関係者の往来、いわゆるビジネストラックについても、相手国の国内で変異種が発見された際には、即時、停止することにする」と述べました。

Go Toトラベル「再開はなかなか難しいのではないか」

菅総理大臣は、記者会見で、記者団が、来週11日までを期限として全国一斉に停止している「Go Toトラベル」の再開について質問したのに対し「緊急事態宣言となれば、Go Toトラベルの再開はなかなか難しいのではないかと考えている」と述べました。

衆院選への対応「感染対策を最優先に」

菅総理大臣は、記者会見で、ことし9月までが任期の自民党の総裁選挙と10月で任期満了となる衆議院の解散・総選挙への対応について「当面は新型コロナウイルスの感染対策を最優先に取り組んでいきたい。日本の経済全体を見渡しながら、再生に向けても取り組む必要がある」と述べました。

そのうえで「どこかで衆議院選挙を行わなければならないわけで、任期も決まっているので、そうした時間の制約も前提にしながら、よくよく考えたうえで判断をしたい。総裁選挙は、先の話だと思っている。まずは目の前の課題に一つ一つ、しっかり取り組んでいくことが大事だ」と述べました。

東京五輪・パラ「世界中に希望と勇気を届ける決意」

菅総理大臣は、記者会見で「夏の東京オリンピック・パラリンピックは、人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証しとして、また、東日本大震災からの復興を世界に発信する機会としたい。感染対策を万全なものとし、世界中に希望と勇気をお届けする大会を実現するという決意のもと、準備を進めていく」と述べました。

通常国会「予算案の早期成立図りたい」

菅総理大臣は、記者会見で、今月召集される通常国会について「今年度の補正予算案と来年度予算案の早期成立を図りたい。さらにデジタル庁の設置や35人学級のための法案、行政手続きのはんこの廃止のための法案を提出し、国会で、しっかり説明していきたい」と述べました。