生活困窮者「ここまで苦しくなるとは思わなかった」相談多く

新型コロナウイルスの感染拡大で生活が苦しくなっている人を支援しようと、東京都内で生活相談の受け付けや食料の提供が行われ、仕事を失った人などが相次いで訪れました。

これは生活困窮者などを支援する5つの団体が合同で、大みそかと元日に続いて、東京 千代田区にある教会で行いました。

会場では手作りの弁当や飲み物など200人分余りが用意され、訪れた人たちが受け取っていました。

また生活相談の受け付けも行われ、仕事を失うなどして生活に困窮している人に、支援団体のメンバーが生活保護の申請などについてアドバイスしていました。

支援団体によりますと、寄せられた相談は3日間で100件近くに上るということで、4日以降、都内の自治体などに生活保護の申請を行うことにしています。

新型コロナウイルスの影響で仕事がほとんどなくなったという60歳の男性は「年末年始は1日1食で生活していました。明日から頑張ろうという気持ちになれました」と話していました。

支援団体の1つ「つくろい東京ファンド」の稲葉剛代表理事は「自分の生活がここまで苦しくなるとは思ってもいなかったという相談が多く寄せられています。自分だけで解決しなければと思うのではなく、遠慮をしないで相談してほしい」と話していました。

「仕事がなくなり 貯金もゼロに」

労働組合や弁護士、NPOなどで作る支援グループは、新型コロナウイルスの感染拡大で雇用への影響が広がっていることから、去年4月から2か月ごとに全国一斉の電話相談会を開いていて、相談の件数や内容などをまとめました。

それによりますと、6月は1217件、10月は782件、12月は522件の相談が寄せられました。

相談を通じて収入を把握できた人のうち、月収10万円以下と答えた人の割合は、6月は58.5%(189人)でしたが、12月は68.9%(122人)となりました。

所持金について答えた人のうち、1万円以下だった人の割合は、6月は22.7%(37人)、8月は31.2%(29人)、10月は51.3%(115人)、12月は59.6%(99人)となっています。

12月の電話相談会でも深刻な状況を訴える声が多く寄せられました。

このうち、飲食業でパートとして働いていた40代の女性からは「春ごろから仕事がなくなり、単発の仕事でなんとかしのいできたが、いよいよ仕事がなく、貯金もゼロになり食べるものもない」という相談でした。

また、妻と2人で暮らすという70代の男性からは「タクシー会社の運転手として働いているが、仕事が減り、歩合制のため生活ができない。家賃や保険料も滞納する中、緊急小口資金などの国の貸付金もすでに借りてしまっていて、所持金は残り5万円だ」という相談が、40代の男性からは「派遣労働者として働いていたが、11月に仕事を失った。12月上旬に貯金がなくなり食事も食べられない状況で、就職活動をしているが決まらない」という相談が寄せられたということです。

支援グループ「コロナ災害を乗り越える いのちとくらしを守るなんでも電話相談会実行委員会」は「新型コロナウイルスの影響が長期化する中、非正規雇用で働いていた人などが仕事を失ったあと、貯蓄を取りくずしたり、国の給付金や貸付金を利用したりして、なんとか生活を維持してきたものの、所持金が底をつく人が増えているのが実態だ。国には休業支援金や生活保護などの制度について一層の周知を行うよう求めていきたい」としています。