メルケル首相 コロナで家族など失った人に思い寄せる 新年演説

ドイツのメルケル首相は31日、新年に向けたテレビ演説を行い、新型コロナウイルスで家族や友人などを失った人々に思いを寄せるとともに、最前線で働く医療従事者などに感謝の意を示しました。

この中でメルケル首相は「どれだけ多くの人が愛する人を失い、最期にそばにいることもできなかったか、社会として忘れることは許されない。私にはその痛みを和らげることはできないが、今も思いを寄せている」と語りかけ、新型コロナウイルスで家族や友人などを亡くした人たちに寄り添う気持ちを示しました。

そのうえで、最前線で働く医療従事者のほか、スーパーマーケットや公共交通機関、それに警察などで働く人たちに感謝の思いを伝えました。

ドイツでは30日の死者数が1129人と1日当たりではこれまでで最も多くなっていて、メルケル首相はドイツでもワクチンの接種が始まったことに期待感を示しました。

メルケル首相はことし9月に予定されている連邦議会選挙に立候補しない意向を示していて、新年に向けた恒例のテレビ演説は今回が最後となる見通しです。

メルケル首相は15年に及ぶ自身の任期を振り返り「この15年間、誰もが過ぎ去っていく年をこれほど困難に感じたことはなかった。そして、不安や疑いの気持ちがありながらも、これほどの希望をもって新しい年を待ち受けたこともなかった」と述べ、共にこの危機を乗り越えようと呼びかけました。