コロナ禍でのがん診療 シンポジウムで厳しい現状報告

新型コロナウイルスの感染拡大で影響を受けているがんの診療について考えるシンポジウムが開かれ、医師や患者から特に地方の病院で医療スタッフの疲弊が深刻化していることや、感染への懸念から多くの患者が受診を見合わせている現状が報告されました。

シンポジウムは、各地の患者団体でつくる「全国がん患者団体連合会」が30日夜オンラインで開催し、医師や看護師それに患者団体の代表などが参加しました。

この中で福島県立医科大学附属病院の佐治重衡副院長は地域の医療現場の現状について「1つの基幹病院でがんもコロナも救急も診る必要があり、医師も看護師も疲弊が非常に深刻になってきている。ギリギリのところでなんとかなっているだけだ」と厳しい状況を報告しました。

また、乳がんを経験した、がん患者を支援する一般社団法人「CSRプロジェクト」の桜井なおみ理事長はがん患者へのアンケート調査で新型コロナの影響で8人に1人が治療計画を変更し、そのうちのおよそ4割は患者自身が変更を判断していたと報告しました。

そして、患者は感染を強く恐れているケースがあるとして、受診が必要な場合について学会や医療機関がまとめている情報が届くようにしてほしいと訴えていました。

これに対し、医師からは、診断が遅れると特に進行の早いがんの治療に影響が出るという懸念が示され、遠隔診療をさらに導入する必要があるなどといった意見が出されていました。