新型コロナ“後遺症” けん怠感や脱毛などに悩む人 受診相次ぐ

東京・渋谷区にある診療所では、けん怠感や息苦しさ、それに味を感じない味覚障害といった新型コロナウイルスの“後遺症”とされる症状に悩む人の受診が相次ぎ、年末年始もオンライン診療で対応することにしています。

東京・渋谷区にある「ヒラハタクリニック」は、ことし3月以降、新型コロナの“後遺症”とされる症状に悩む人たちの診療を行っていて、受診した患者はこれまでに500人に上るということです。

院長によりますと、患者は新型コロナに感染したものの、症状が軽い「軽症」とされ、宿泊施設で療養したあとに“後遺症”とされる症状を訴える人が多いということです。

このうち症状を詳しく分析できた378人について、訴えている症状としては、複数回答で、けん怠感が97%、気分の落ち込みが86%、息苦しさが73%、脱毛が52%、味を感じない味覚障害が27%となっています。

また、患者のうち114人は、1週間のうち半分以上を自宅で休むという寝たきりに近い状態になっているということです。

この診療所では、“第3波”とされる感染拡大で、11月以降、全国から“後遺症”の訴えが相次ぎ、多い時は1日におよそ60人の予約があり、夜遅くまでオンラインや電話で診療しているということです。

地方の診療所では「後遺症は診られない」と言われ、この診療所にたどりついた人もいて、年末年始もオンライン診療で対応することにしています。

平畑光一院長は「ホテル療養の間はだるさに気が付かないが、療養が終わった後、いざ会社に行く、学校に行くとなった時に強いけん怠感に気付く。呼吸がしづらいとか、どうきが強いとか、嗅覚、味覚障害とか、多様な症状を一度に訴える人が多いです。後遺症があってつらいことを誰も知らない、みんな自分のことを怠け者だと言うなど、見放された気分になり、孤独感が強くなる。ただ、調子が悪い時には無理に動かないなど、しっかりと対応すれば改善していくので、後遺症を診てくれる診療所が増えてくれたらと思います」と話していました。

“後遺症”続く女子高校生「きつくてつらい」

新型コロナウイルスに感染した女子高校生は、ホテルでの療養を終えて自宅に戻ってから、けん怠感や息苦しさを感じるようになったといいます。

都内の女子高校生は、ことし10月に新型コロナに感染していることがわかり、一時は発熱がありましたが、入院の必要はないとしてホテルで療養して過ごしました。

療養中はほとんど部屋で過ごし、母親や友人とLINEでやり取りをするなど、変わった様子はありませんでした。

しかし、ホテルの療養を終え自宅に戻った際、異変を感じたといいます。

女子高校生は「ホテルの外に出て、久しぶりに空を見てうれしかったです。でも、帰りにタクシーを降りて家まで1分くらい歩いたらすごく疲れて、あれ?って思いました。ただ療養で体力が落ちているだけかと思っていました」と話します。

その後、学校に通いましたが、徐々にけん怠感や息苦しさが強くなっていき、もともと、ぜんそくがあったことからかかりつけ医の元にも行きましたが、ぜんそくではないと言われ、ようやく渋谷にある診療所で新型コロナの“後遺症”だと診断されたということです。

女子高校生は「ただの体調不良でテストを休んだりしたらよくないと思って頑張っていたんですけど…。途中から一気に具合が悪くなって息がすごい苦しくなったり、座っているだけではぁはぁしたりとか。苦しいのがちょっとではなく、走ったあとの苦しさがずっと続くような感じで、きつくて、つらかったです」と症状の深刻さを明かしました。

そのうえで「後遺症のせいで進級とか卒業とか、会社にも行けなくなって大変なので、新型コロナだけではなく、後遺症にも対応してもらえるとありがたいし、多くの人に知ってもらいたいです」と話していました。

また、娘とともに感染した母親は「療養したらそれで終わりだと思っていたので、まさか後遺症があるとは思わなかったです。思った以上に怖い病気だと思います。療養施設を出る時は後遺症があるかもという説明もなかったし、自分の気のせいじゃないか、そう思って頑張る人がたくさんいるのではないかと思います」と話していました。