輸血用の血液がピンチ! 新型コロナで献血会中止相次ぎ

新型コロナウイルスの影響で、各地で献血会の中止などが相次いでいて、首都圏を中心に輸血用の血液が安定的に確保できない異例の事態となっています。

日本赤十字社関東甲信越ブロック血液センターによりますと緊急事態宣言が出されたことし4月以降、企業の在宅勤務や大学のオンライン授業が広がるなどした影響で首都圏を中心に、月ごとに目標としている献血の量を確保できていない状態が続く異例の事態になっているということです。

このうち、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の1都3県では、ことし4月から先月までに献血バスの配車予定のおよそ4割が中止されたということで、需要が最も多い400ミリリットルの献血は、目標よりもおよそ4万5700人分、少なかったということです。

また、輸血用の血液を安定的に供給するためには少なくとも3日分を確保するのが適正量だとされていますが、一時期は減っていた手術の数が増えてきたこともあり、ことし10月中旬から先月にかけては、適正量の8割にまで落ち込んだということです。

これまで、ほかの地域から血液を供給してもらったり、街頭での呼びかけを強化したりすることで医療機関に影響が出ないようにしてきたということですが、新型コロナウイルスの感染が拡大する中、この先は不透明な状況だということです。

日本赤十字社関東甲信越ブロック血液センター総務企画課の光吉智彦主査は「いまは個人の協力に頼らざるをえない状況だ。このまま献血が減り続けると医療機関への影響も懸念されるので、継続的に献血に足を運んでもらうよう協力をお願いしたい」と話していました。

街頭や住宅街の献血会 大幅に増加

東京都内の献血業務を担当する東京都赤十字血液センターによりますと、都内では、1月の献血バスの予定のうちすでに2割が中止になっているということです。さらに例年、多くの人から協力が得られていた年末年始の大規模イベントも中止や延期となり、目標としている献血量を確保するのが難しい状況だということです。

このためセンターでは、街頭や住宅街での献血会をふだんよりも大幅に増やしているということです。

この日は、JR調布駅前の広場に献血バスをとめ、スタッフが道行く人に声をかけて協力を呼びかけました。

JR調布駅前は、ふだんから献血に協力してくれる人が多いということで、去年は、この場所での献血会は月に1回程度でしたが、ことしは9月以降の3か月間ですでに17回に上っています。

献血をした30代の男性は「自分の会社でもことしの献血会が中止になりました。この時期に人を集めるのは大変だと思うので、少しでも力になりたい」と話していました。

はがきや電話でも協力呼びかけ

東京都赤十字血液センターによりますと献血をする人はもともと冬場に少なくなるうえに、新型コロナウイルスの感染拡大によって外出を控える人が増えるとみられ、見通しを立てるのが難しいということです。

このためセンターでは過去に献血してくれた人にはがきを送ったり、電話をかけたりして協力を呼びかけています。

この日は、さらに昼休みの時間帯に合わせて、スタッフの女性が献血バスが訪れる地域の人たちに改めて電話をかけ、献血バスが来る時間や場所を伝えて最後のお願いをしていました。

東京都赤十字血液センターの鈴木賢太郎参事は「献血協力者がこれほど減ったのは今までに経験がない状況だ。みんな大変な状況だと思うが少しの時間を割いて助け合いに協力してほしい」と話していました。

コミックマーケットとのキャンペーンも

例年、東京都の献血は、恒例の大規模イベントで多くの人から協力を得ていましたが、新型コロナウイルスの影響でことしはこうしたイベントが次々と中止になったり、オンラインになったりしています。

このうち東京 江東区の東京ビッグサイトで毎年、夏と冬の2回開かれる「コミックマーケット」は延べ50万人が参加するイベントで、日赤ではこの数年、会場におよそ30台の献血バスを出して協力を呼びかけてきました。毎回1500人ほどの協力が得られていたということですが、ことしは夏と冬のいずれも実際の会場での開催は中止となりました。

こうしたことからコミックマーケットを主催する団体と日赤などが協力して献血を呼びかけるキャンペーンを始める予定で、ホームページなどで紹介しています。

キャンペーンでは今月30日から1月31日までの間に首都圏1都3県の献血ルームで献血をすると「バーチャルユーチューバー」のキャラクターが描かれたポスターがもらえるということです。

「コミックマーケット準備会」では「このような献血が集まらないときこそ、できるだけ多くの人に協力してほしい」とコメントしています。