尾身会長「首都圏の感染止めないと全国の拡大止めるの難しい」

菅総理大臣の記者会見に同席した政府の分科会の尾身茂会長は現在の感染状況について「北海道では感染が下方に転じ、大阪でも増加のスピードの鈍化が見られるようになっている。その一方で、東京都では感染拡大が継続し、周辺の県にしみ出すように感染が広がっていて、東京都と埼玉県、千葉県、神奈川県の1都3県で感染者が全国の5割を占めるに至っている。首都圏の感染を止めないと全国の感染拡大を止めることは難しい」と分析しました。

そして「これからの年末年始一定程度は人の動きが抑制されると思うが、年末年始の休暇が終わると、社会活動が活発になって再び感染者が急拡大する可能性が極めて高い。年始に急拡大すると、感染者を下方に転じさせるのは、週単位では無理で、難しい。今の時期に感染を下方にするためにできるかぎりのことをする必要がある」と述べました。

さらに尾身会長は現在の状況について、緊急事態宣言が出されていた時期とは異なり、感染を抑える「急所」は分かってきたものの、多くの人が感染が拡大する状況に慣れ、国や自治体の要請に協力が得られにくくなっていると分析しました。

そのうえで求められる対策について「飲食を介しての感染リスクが非常に高くそこを徹底的におさえること、飲食以外の場でも少人数、できれば4人以下でいつも一緒にいる人と過ごすこと、そして国や自治体のリーダーがさらに市民の協力を得るべく明確なメッセージと強力な対策を行うこと。こうした急所を踏まえた対策を行うことで、感染状況を下方に転じることは可能だ」と述べました。

尾身会長「変異ウイルス 早く遺伝子解析を行うこと必要」

菅総理大臣の記者会見に同席した政府の分科会の尾身茂会長はイギリスで広がっている、感染力が強いとされる変異したウイルスについて、1人が何人に感染させるかを示す感染の状況を見る指標、「実効再生産数」がおよそ40%高くなる可能性があるとされているとしたうえで、「日本は今の時点でも医療体制がひっ迫し、機能不全に近い段階に近づきつつあり、変異したウイルスが国内で流行すれば極めて危機的な状況が起こると思う」と述べました。

そのうえで「水際でウイルスの検体を採取して、早く遺伝子解析を行うことが必要だ。変異したウイルスに感染するとこれまでより重症化率が高くなるのか、ワクチンの効果がなくなることがあるのかということについては、まだしっかりした科学的根拠はない。しかし、そうした可能性を想定して準備を行うのは危機管理の要諦だと思う」と述べ、変異したウイルスが国内に流入した場合を想定した対応を検討する必要があるという認識を示しました。