菅首相「時短要請で給付金と罰則セット」コロナ特措法改正検討

新型コロナウイルス対策をめぐり、菅総理大臣は25日夜、記者会見し、年末年始で感染拡大を食い止めるため、できるかぎり会合を控えるなど協力を呼びかけました。また、飲食店への営業時間の短縮要請について、私権を制限することにも配慮しながら、給付金と罰則をセットで、より実効的な措置がとれるよう、特別措置法の改正を検討する考えを示しました。

この中で菅総理大臣は現在の感染状況について「初めての冬を迎える中で、首都圏を中心に感染が拡大しており、感染者数は、1日3000人を超える高い水準が続いており、皆様方の不安も高まっている」と述べました。

そして、今月の東京都内の人出はほとんど減っておらず、このままでは、さらなる感染拡大が避けられない状況だと指摘し「静かな年末年始をお過ごしいただきたい。家族や友人で集まる機会も多いと思うが、できるかぎり会合は控えていただき、なんとしても、この年末年始で感染拡大を食い止めることができるよう協力をお願いしたい」と呼びかけました。

また、菅総理大臣は「専門家から一貫して指摘されているのが、飲食の場の感染リスクだ。感染対策で最も効果的と言われているのが、飲食店の営業時間の短縮だ。給付金と罰則をセットで、より実効的な措置がとれるように、特別措置法の改正を検討する」と述べました。

一方「罰則については、分科会で『規制強化すべき』という意見と私権制限に慎重な意見があり、今後、分科会において早急に検討を進めていく」と述べました。

「南アフリカ滞在歴ある外国人 入国拒否の対象」

さらに菅総理大臣は、水際対策について「ウイルスの変異種の問題で、南アフリカに滞在歴のある外国人についても、イギリスと同様に、入国拒否の対象とすることを決定した。今後も国民の健康と命を守り抜くことを最優先に、各国の状況を見ながら、迅速に対策を強化していく」と述べました。

そして「最終的に感染対策の決め手となるのがワクチンだ。わが国でも治験が始まっており、来年2月にはデータがまとまる予定だ。安全性、有効性を最優先に審査を行ったうえで、承認されたワクチンを必要な方にできるだけ早く接種を開始できるよう、関係省庁一体となって作業を進めている」と説明しました。

5人以上の会食を陳謝

一方、先に5人以上で会食したことについては「本来、大人数での会食を避けることを要請する立場にありながら、深く反省している。改めておわび申し上げる」と陳謝しました。

そのうえで菅総理大臣は「私自身、新型コロナウイルス対策について、国民の皆さんへの説明が十分ではなかった面があった。今後、国民の皆さんとの丁寧なコミュニケーションに努めていきたい」と述べました。

吉川元農相の現金授受疑い「説明責任果たすべき」

吉川元農林水産大臣が大手鶏卵生産会社の元代表から現金を受け取った疑いがある問題について「捜査機関の活動内容を承知していないので、私の立場で答えることは控えたいが、政治家はみずからが襟を正し、説明責任を果たしていくべきだ」と述べました。

首相自身の答弁についておわび 安倍前首相謝罪で

「桜を見る会」の前日夜に開催された懇親会をめぐり、安倍前総理大臣が、過去の国会答弁が事実と異なっていたとして謝罪したことについて「非常に重く受け止めている」と述べました。

そのうえで「私自身、官房長官として国会でも答弁している。必要に応じて安倍氏に確認しながら、国会で答弁してきたのは事実だ。しかしながら事実と異なる答弁になってしまったことについては、国民の皆さんに対して大変申し訳なく思い、改めておわび申し上げる。国会でもいろいろな機会があると思うので、丁寧に説明させていただきたい」と述べました。

衆院解散について「当面はコロナ対策に全力」

衆議院の解散・総選挙について「当面はワクチン接種を含めた新型コロナウイルス対策に全力で取り組んでいきたい。衆議院の解散は来年の秋までと時間が決まっている。いずれにしろ、国民に対する私の責務は感染拡大防止だ。とにかく感染拡大防止を全力でやる」と述べました。

緊急事態宣言 出す状況ではないという認識

緊急事態宣言について「当時は感染を収束させるために緊急事態宣言を出したが、その後の経験の中でいろいろなことを学んできたのも事実だ。尾身会長からも、今は緊急事態宣言を出すような状況ではないと発言があったと承知している」と述べ、現時点では、緊急事態宣言を出す状況ではないという認識を示しました。

また記者団が、緊急事態宣言を出さなくても国民の行動変容を促すことは可能かと質問したのに対し「私自身は可能だと思っている。あらゆる機会に現状を丁寧に説明すれば、必ずご理解いただけると思っている」と述べました。

Go To一時停止「本当に悩んで、悩んで、行った」

「Go Toトラベル」を全国一斉に一時停止したことについて「『説明が足りない』とか『遅すぎる』とか、いろいろな批判をいただいているので、しっかりと説明しながら進めていかなければならない。ただ、この判断は、本当に悩んで、悩んで、行ったことだけは、ご理解いただきたい」と述べました。

時短要請 閉店時間前倒し「権限は都道府県に」

記者団が、東京都の飲食店などへの営業時間の短縮要請について、さらに閉店時間を前倒しにすることの是非を質問したのに対し「東京については西村大臣から知事にも要請をさせていただいているし、さらなる時間短縮について尾身会長からもご要請いただいている。ただ、このことについては、権限は都道府県にあり、時短とは違う対応をしていることも承知している」と述べました。

安倍前首相の説明責任「説明はされてきた これから精査」

「桜を見る会」の前日夜に開催された懇親会をめぐる安倍前総理大臣の一連の説明について、記者団が「安倍氏は説明責任を果たしたと思うか」と質問したのに対し「安倍氏は記者会見し、きょうは国会で説明をされている。そのことにおいて、説明はされてきたのではないか。中身は見ておらず、これからしっかり精査したい」と述べました。