安倍前首相が謝罪「国会答弁 結果として事実に反するものも」

「桜を見る会」の前日夜の懇親会をめぐる問題で、秘書が略式起訴されたことを受け安倍前総理大臣は、24日夜、記者会見しました。過去の国会答弁について、「当時の知るかぎりを答弁したつもりだが、結果として、答弁の中には、事実に反するものがあった」などと述べ、謝罪しました。

「桜を見る会」の前日夜に開催された懇親会をめぐる問題で東京地検特捜部は、安倍前総理大臣の後援会の収支報告書に懇親会の収支を記載しなかったとして、安倍氏の公設第1秘書を、政治資金規正法違反の罪で略式起訴する一方、安倍氏本人は不起訴にしました。

これを受けて、安倍氏は、24日夜国会内で1時間余り記者会見しました。この中で、みずからの政治団体「安倍晋三後援会」の去年までの3年分の収支報告書について、懇親会の収支を記載するため修正したと説明しました。

そして「会計処理は私が知らない中で行われていたとはいえ、道義的責任を痛感している。深く反省し、国民に心からおわび申し上げたい」と謝罪しました。

また、懇親会に関係する過去の国会答弁については「事務所に幾度も確認し、当時の知るかぎりを答弁したつもりだが、結果として、答弁の中には、事実に反するものがあり、国民の政治への信頼を損なうことになってしまった」と述べました。

そして「当時の行政府の長として、自民党総裁として、一国会議員として、国民と与野党すべての国会議員に深くおわびしたい」と謝罪し、国会で事実関係を説明する考えを示しました。

そのうえで「今般の事態を招いた政治責任は極めて重いと自覚しており、真摯(しんし)に受け止めている。国民からの信頼を回復するためあらゆる努力を行っていきたい。初心に立ち返り、責任を果たしていきたい」と述べました。

一方で、議員辞職と自民党離党の可能性を問われ「反省のうえに立って、職責を果たしていきたい」と述べました。

また、みずからが事実を知ったのは先月で、責任者の秘書から伝えられたとしたうえで、この秘書と、略式起訴された公設第1秘書が、それぞれ辞職したことを明らかにしました。

さらに当時官房長官としてこの問題の答弁にあたっていた菅総理大臣については「私が事務所から聞いたことを前提に答えるしかなく、結果として事実と違う答弁をすることに至ったことは、申し訳ないと思っている」と述べました。

そして「きょうの記者会見とあすの国会での説明で済むかと言われれば、そうは考えていない。今後も必要があれば説明したい」と述べました。

「補填(ほてん)はみずからの預金で」

安倍前総理大臣は記者会見で、懇親会の開催にあたって補填した資金をどこから出したのか問われ「私の預金から下ろしたものだ。食費や会合費、交通費、宿泊費などの支出一般について事務所に請求書が来て、支払いを行うが、手持ち資金として事務所に私が預けているものの中から支出をした」と述べました。

「事実を確認したのは11月」

そのうえで「事実を確認したのは捜査が始まったあとで、最近だ。責任者の秘書は数年間にわたって収支報告書に記載すべきものを記載せず、私に真実を答えることができなかった。先月、報道が出てから確認したところ、『実はこういうことだった』と話があった」と述べました。

また、この秘書が辞職したことも明らかにしました。

「運営には全く関わっていない」

懇親会の運営については「懇親会の運営などは私は総理大臣としての職務に専念していたので、全く関わっていない。長年、間違いがなかったので、責任者に事務所の運営を任せていた」と述べました。

また「懇親会については段取りやホテルとの交渉、立て替えの支払いなどは東京の事務所が行っていた。一方、後援会の代表は地元の公設第一秘書が務めていた。東京の事務所と地元の事務所の連絡や連携が不十分だったことからこうしたことが長年、行われてしまった」と述べました。

そのうえで「公設第一秘書は、きょう、退職届を提出したところだ。本人も反省しており、今後どうするかについては、本人も当分の間、謹慎したいと考えている」と述べました。

さらに「秘書への確認が十分だったかについては、私もじくじたる思いがある」と述べました。

明細書はなかったとの答弁について

これまでホテル側からの明細書はなかったと答弁してきたことについては「明細書については事務所に確かめたが、ホテルからの明細書は残っていないということだった。また、明細書を見た認識はないということだったが、ホテル側が『明細書を渡している』ということを言っているのであれば、そういうことだったのかもしれない」と述べました。

「初心に立ち返って全力尽くす」

衆議院議員の辞職と自民党離党の可能性についての問いに対しては「政治責任は極めて重いと自覚している。反省のうえに立って、国民からみて一点の曇りもないように私自身が責任を持って徹底していく。同時に信頼を回復していくため国民の期待に応えていくことができるよう初心に立ち返って全力を尽くしていくことで、職責を果たしていきたい」と述べました。

また出身派閥の細田派への復帰については「総理大臣を辞職してまだ日が浅く、今回の問題もあるので、今のところ復帰は考えていない」と述べました。

政権への影響「答えようがない」

菅内閣や自民党の支持率に与える影響について質問されたのに対しては「どのような影響を与えるかについて私は答えようがない。いずれにしても、政治やわが党に対する信頼を回復すべく努力していきたい」と述べました。

一方で「当時の菅官房長官も、私が事務所から聞いたことを前提に答えるしかなかった。結果として、事実と違う答弁をすることに至ったことについては、菅総理大臣に申し訳ないと思っている」と述べました。

事情聴取への言及「申し上げるのは適切ではない」

また、事情聴取を受けたことについて「捜査に対しては、誠意を持って真実を明らかにするために協力していくと申し上げてきており、そういう対応をした。事情聴取がいつ、どこで行われたかということは、捜査に関わることなので私から申し上げるのは適切ではない」と述べました。

「今後も必要があれば説明」

24日の記者会見と25日の国会での説明で責任を果たしたと言えるかとの問いに対しては「それで済むかと言われればそうは考えていない。本当の意味で国民の信頼を得るために、これから努力を重ねていかなければならない。できるかぎり、知りうるかぎりのことを説明しているが、今後も必要があれば説明したい」と述べました。