学童保育の待機児童が減少 保護者の在宅勤務影響か

「学童保育」の空きを待つ待機児童はことし7月時点でおよそ1万6000人と、1年余りで2000人以上減少したことが分かりました。厚生労働省は、新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が進んだことなどが影響しているとみていますが、専門家は「影響は限定的で、増加に転じる可能性がある」と指摘しています。

共働き家庭などの小学生が利用する「放課後児童クラブ」、いわゆる「学童保育」について、厚生労働省はことし7月時点の利用状況をまとめました。

新型コロナウイルスの影響で休校措置が取られたことなどを受けて、調査の時期を例年より2か月遅らせています。

調査の結果、空きを待つ待機児童は1万5995人で、去年5月から2266人減少しました。

待機児童が減少したのは、平成23年以来9年ぶりです。

厚生労働省は、▽受け皿の整備が進んだことに加え、▽保護者の間で在宅勤務が進み、家庭で過ごす子どもが増えたためではないかと分析しています。

一方、民間団体の「全国学童保育連絡協議会」がことし5月に行った調査では、待機児童が過去最多の1万8783人に上りました。

日本学童保育学会の代表理事で、明星大学の垣内国光名誉教授は「国と民間の調査で結果にずれがあり、一概に待機児童が減少したとは言えない。在宅勤務の影響は一時的で、経済状況の悪化で働く保護者が増える動きもあり、今後、待機児童が増加に転じる可能性がある」としています。

そのうえで「待機児童を減らそうと、学童保育では子どもたちの詰め込みが常態化している。量・質ともに拡充が必要だ」と指摘しました。