ぜんそくの薬「オルベスコ」 新型コロナへの有効性は示されず

新型コロナウイルスへの効果が期待されていた、ぜんそくの薬「オルベスコ」について国立国際医療研究センターは、軽症の患者を対象にした臨床研究で有効性は示されなかったと発表しました。

ぜんそくの治療薬「オルベスコ」、一般名「シクレソニド」は細胞を使った実験で新型コロナウイルスの増殖を抑える効果がみられたことから、治療薬の候補として期待されていました。

これについて国立国際医療研究センターが国内の21の医療機関と共同で、無症状か軽症の感染者合わせて90人を対象に効果や安全性を調べる臨床研究を行いました。

その結果、
▽薬を投与した感染者41人のうち、39%にあたる16人が、その後、肺炎になったのに対し、
▽薬は投与せずに一般的な治療を行った48人のうち肺炎になったのは19%にあたる9人で、薬を投与したほうが肺炎になる割合が高かったということです。

このため国立国際医療研究センターでは、海外での臨床研究も踏まえて判断する必要があるものの「今回の結果からは無症状や軽症の感染者に投与することは推奨できない」とコメントしました。

臨床研究に関わった愛知医科大学の森島恒雄客員教授は「軽症の患者の症状を抑えると期待された薬だったが、効果が否定される結果となり残念だ。有効な治療薬は医療現場の負担を減らすためにも非常に重要で、今後も薬の探索を続けていく必要がある」と話しています。