コロナ専門家会合 年末年始対策や変異のウイルスへの対応議論

新型コロナウイルスの感染の拡大が大都市部だけでなく全国各地で続く中、対策について厚生労働省に助言する専門家の会合が開かれています。
会合では年末年始に求められる対策のほか、イギリスで感染力が強いとされる変異したウイルスの感染が拡大していることを受けた対応について、議論が行われています。

厚生労働省の専門家会合は午後6時から始まり、議論が行われています。

田村厚生労働大臣は、会議の冒頭「さらに気温の低下が見込まれ、感染拡大の要因になってくるので、最前線で対応する医療機関や医療従事者をしっかりと支援し、医療提供体制の維持・確保に全力を尽くしたい。首都圏をはじめ、医療提供体制が非常に厳しい状況の中で、年末年始が間近に迫っている。国民には改めて帰省や忘年会、新年会についても慎重な対応をお願いしたい」と述べました。

会合で示されたデータでは、新たに感染が確認された人の数について、21日までの1週間の平均を前の週と比較すると、全国では1.05倍に増えています。

地域別に見ると、最も増加率が高いのは
▽岡山県で2.20倍
▽福岡県が1.41倍
▽神奈川県が1.27倍
▽京都府と高知県が1.23倍
▽東京都が1.22倍などと、感染の拡大は各地で続いています。

一方で
▽沖縄県が0.59倍
▽北海道が0.65倍などと、減少している地域も見られます。

22日の専門家会合では、こうした最新の感染状況の分析をもとに、移動の自粛呼びかけや飲食店での感染対策など、年末年始に求められる対策のほか、イギリスで感染力が強いとされる変異したウイルスの感染が拡大していることを受けた対応について議論が交わされています。

あす 政府の分科会開催で調整

西村経済再生担当大臣は記者会見で、23日に政府の分科会を開き、新型コロナウイルス対策の特別措置法の改正について論点を提示するほか、ワクチンを優先的に接種する対象などを取りまとめたいという考えを示しました。

この中で、西村経済再生担当大臣は「あす分科会を開催する予定で調整しており、最近の感染状況やワクチン接種を主な議題とするほか、新型コロナウイルス対策の特別措置法の改正について、指摘されている論点の提示を行いたい」と述べました。

そのうえで、ワクチン接種については、前回の分科会での議論を反映させて、優先的に接種する対象などを取りまとめたいという考えを示しました。

一方、東京都の感染状況について「高い水準の報告数があり、最大の警戒感を持って対処する必要がある。医療も非常に厳しい状況になっており、このレベルになると、人と人との接触を減らさなければならない」と述べました。

そして、昭和記念公園の有料区域や、東京臨海広域防災公園の屋内施設、それに新宿御苑や皇居外苑の休憩施設などについて、今月26日から来年1月11日までの間、休館や休園とするよう関係省庁に要請する考えを示しました。

専門家「4~5月に持っていた危機感思い出して」

人の移動と感染拡大の関係について、感染症に詳しい東京医科大学の濱田篤郎教授は「新型コロナウイルスなど飛まつ感染を起こす感染症は、人がウイルスを運ぶため、移動が増えればどうしても感染が拡大してしまう。北海道では強い危機感のもとで外出などでの人の動きが減り、感染も落ち着き始めている一方で、東京都ではあまり人出が減らず、感染者の数は右肩上がりになってきている」と述べました。

そのうえで「欧米で起きているような医療崩壊は何としても避けなければならず、感染拡大を防ぐために人の動きを抑えることが必要だ。1人でも多くの人に、ことし4月から5月くらいに持っていた危機感を思い出してもらい、年末年始に向けて移動や外出を控えるようお願いしたい」と訴えました。