変異ウイルス感染拡大 混乱解消に向け英仏が協議

変異した新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、イギリスとヨーロッパ大陸を結ぶ物流の大動脈となっているドーバー海峡の混乱が続いていて、イギリスとフランスが協議を続けています。

イギリスで感染力が強いとされる変異した新型コロナウイルスの感染が拡大していることを受けて、40に上るとみられる国や地域が航空便の受け入れを停止するなどの措置をとっています。

このうち、
▼ドイツやポーランド、それにスウェーデンなどは、イギリスからの航空便の受け入れを一時停止するほか、
▼モロッコや香港などはイギリスへの渡航に制限を設けています。

物流の大動脈のドーバー海峡では、フランスがイギリスからの入国を
21日から停止しているため、大陸に渡れなくなったトラックなどが滞留する状況が続いています。
イギリスのパテル内相は、22日朝の番組で、滞留しているトラックはおよそ1500台に上るという見方を示したうえで、混乱の解消に向けて、フランス側と協議を続けていると述べました。

また、フランス政府のヨーロッパ問題担当の閣僚は、21日夜、イギリスのジョンソン首相とフランスのマクロン大統領がイギリスからの入国を認める上で必要な対策について、近く合意するという見通しを示しています。

具体的な対策は明らかになっていませんが、フランス政府は、入国する人にウイルス検査の実施を義務づける案を軸に、EU=ヨーロッパ連合の加盟各国とも調整を進めています。

ただ、入国が認められたとしても、大量のトラックの滞留が解消するには時間がかかるため、クリスマスにかけて混乱は続くのではないかという見方も出ています。
ヨーロッパ大陸とを結ぶ輸送の混乱の影響で、イギリスでは生活必需品の供給が滞るのではないかという懸念が出ていて、スーパーマーケットの中には買い物客の長い行列ができたところもありました。
トヨタは、イギリスにあるエンジン工場で22日から、乗用車の組み立て工場で23日に、操業を停止することになりました。

いずれも24日から年末年始の休業に入る予定で、生産の取りやめは
最大2日となります。

また、フランスにある組み立て工場でも22日の午後と23日、操業を停止するということです。

日本とイギリスの往来は?

政府は、現在、イギリスを入国拒否の対象国としていることから、特段の事情がないかぎり、新規の入国は認めていません。

イギリスからの入国が認められるのは、日本人と、中長期の在留資格を持つ外国人に限られ、ウイルス検査や14日間の自宅などでの待機が求められます。

イギリスへの7日間以内の短期出張の場合は、日本国内に在住している人は、日本人か外国人かにかかわらず、帰国や入国の際、一定の条件のもと、14日間の待機は免除されます。

具体的な条件として、訪問先などを記入した「活動計画書」の提出や、入国後14日間は公共交通機関を利用しないことなどが求められます。

世界各国からの入国

イギリスと同様に、政府は、世界各国からの入国について、以下の措置を取っています。

日本国内在住の日本人が海外に渡航し、帰国した場合や、海外に在住する日本人が帰国した場合は、ウイルス検査や14日間の自宅などでの待機が求められます。

また、日本在住の外国人が海外に渡航し、日本に帰国した場合や、海外在住で、中長期の在留資格がある外国人が日本に入国する場合も同様に、ウイルス検査や14日間の自宅などでの待機が求められます。

一方で、例外措置があり、日本国内に在住している人が、海外に7日間以内の短期出張をした場合は、日本人か外国人かにかかわらず帰国や入国の際、一定の条件のもとで14日間の待機が免除されます。

このほか、政府は一部の国や地域と往来を再開させています。

タイやマレーシアなど11の国・地域との間では、企業の駐在員などの長期滞在者を対象に往来を再開させていて、ウイルス検査や14日間の待機が求められます。

このうち、中国や韓国、ベトナム、シンガポールの4か国については出張などの短期滞在者も対象に往来を再開させていて、この場合は一定の条件のもとで14日間の待機が免除されます。

変異のウイルス確認の南アフリカ 各国が旅客機受け入れなど停止

ロイター通信によりますと、南アフリカで変異した新型コロナウイルスが確認されたことを受けて、各国で南アフリカからの旅客機の受け入れを停止するなどの措置がとられています。

このうち、ドイツとスイスは南アフリカからの入国者の受け入れを停止するとしています。

またオランダは、少なくとも来月1日まで南アフリカからの旅客機の受け入れを停止するとしています。

このほか、中米のエルサルバドルも、過去30日以内に南アフリカに滞在したことがある人の入国を禁止するとしています。

トルコ政府 4か国から旅客機の受け入れ停止

トルコ政府は、変異した新型コロナウイルスが確認されたイギリス、オランダ、デンマーク、南アフリカの4か国を対象に、20日夜から旅客機の受け入れを停止しています。

さらにトルコのコジャ保健相は、22日、今月14日以降にイギリスから到着した旅客機の乗客4603人を特定し、自宅やホテルなどでの隔離措置を求めるとともに、全員のPCR検査を順次、行っていることを明らかにしました。