WHO 変異したコロナウイルス 重症化や死亡確率上げる根拠ない

イギリスで広がる変異した新型コロナウイルスについて、WHO=世界保健機関のテドロス事務局長は、イギリス政府からの報告として「現時点では、重症化する確率や死亡する確率を上げるという根拠はない」と述べたうえで、WHOとしても分析にあたっていることを明らかにしました。

イギリスで、感染力が強いとされる変異した新型コロナウイルスの感染が拡大していることについて、WHOのテドロス事務局長は21日、スイスのジュネーブで開いた定例の記者会見で「イギリス政府からは感染力は強いものの、現時点で重症化する確率や死亡する確率を上げるという根拠はないと報告を受けている」と述べました。

そのうえで、WHOとしても分析にあたっていることを明らかにしました。

また、技術責任者を務めるバンケルコフ氏は、新型コロナウイルスに一度感染した人が、変異したウイルスにも感染する可能性があるかどうかについては、現在、情報を収集中で、その可能性はまだわからないとしています。

一方、主任科学者のスワミナサン氏はワクチンなどの効果について「今の段階で、ウイルスの変異は治療薬や開発中のワクチンの効果に大きな影響を及ぼしていない」と述べ、変異したウイルスの特性を冷静に見極める必要があるという考えを示しました。

WHOによりますと、変異した同じウイルスは、これまでにオーストラリア、アイスランド、イタリア、オランダ、デンマークで確認されたということです。

南アフリカ 第2波の感染広がりの背景に変異ウイルスあるとの見方

アフリカで新型コロナウイルスの感染が最も深刻な南アフリカの保健当局は18日、「サンプル調査で、特定の変異したウイルスが多くみつかっている」としたうえで、南アフリカで現在起きている第2波の感染の広がりの背景にこの変異したウイルスがあるという見方を示しました。

また、専門家は「初期の段階のデータが示唆しているのは、第1波に比べて第2波のほうが感染が広がるスピードが速いということだ」と説明しました。

そのうえで、合併症がない若者の重症化が目立つという医療現場からの情報もあるとし「重症化への影響については依然定かではない」と述べています。

ムキゼ保健相は「根拠のない発言をしたり、パニックを起こしたりしないよう呼びかける」と述べて、マスクの着用や手洗いなど対策を徹底することの重要性を強調しました。

WHO=世界保健機関の技術責任者、バンケルコフ氏は21日の定例記者会見で、南アフリカで見つかった変異型について「イギリスのものと似たように見えるが実際は異なっている」と述べました。