政府分科会 尾身会長「年末年始に向け感染対策の徹底を」

西村経済再生担当大臣と新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会の尾身茂会長は21日、臨時の記者会見を開き、尾身会長は「飲食店での会食の場が感染拡大の大きな要因になっているとみられる」として年末年始に向けた感染対策の徹底を呼びかけました。

21日午後6時すぎから開かれた臨時の会見で、尾身会長は最新の感染状況について「『勝負の3週間』の期間が終わり、効果を判断する時期に来た。北海道は少しずつ下火になってきている一方、東京都では人々の動きがあまり減らず、感染は高止まりというより、むしろ増えてきている状況だと判断している」と指摘しました。

そのうえで、「首都圏から感染が、しみ出すように広がっていて、都市部から地方に広がるということが続いている。首都圏の感染が抑えられないと全国の感染拡大を下火に向かわせるのは難しい」という認識を示しました。

そして、感染拡大の要因の1つとして飲食店での会食を挙げ、「イギリスのデータで、レストランが感染拡大に寄与しているという結果が出るなど、海外でも飲食の場で感染が広がっている。東京都では感染者のおよそ6割が経路不明となっているが、これまでの傾向などからこのうちかなり多くの人が飲食店で感染していると考えている」と述べました。

そのうえで、年末年始に向けて、これまでの経験で分かってきた「急所」を押さえた対策が必要だとしました。

具体的な対策としては、忘年会や新年会などのほか、ランチやフードコートでの食事など、飲酒の有無や昼夜にかかわらず、食事の際の会話が感染しやすい場面だとして、会話をする際にはマスクを着用するかハンカチで口元を押さえること、家族やいつもの仲間で5人以上は控えることなどとしました。

また、帰省する場合は感染対策を徹底して大人数での会食は控えることなどが必要だと指摘しました。

さらに、もともと感染者数が多く、今も感染の拡大傾向が続いていると判断される地域では、人の移動や接触の機会を減らすように忘年会や新年会は基本的に実施を見送ること、帰省も延期を含めて検討すること、それに年末年始のイルミネーションについては早めに消灯し、カウントダウンイベントもオンラインを活用して開催することなどの対策が必要だとしました。

会見で尾身会長は、「現時点では緊急事態宣言を出すような状況には無いと思うが、今の状況が続けば医療がさらにひっ迫するのは明らかだ。新型コロナウイルス対策では会食、飲食による感染リスクを徹底的に抑えることが感染拡大を防ぐための急所となっている。この急所をおさえることができれば、年末年始に向けて感染を下火にもっていくことは可能だと考えている」と話しました。

西村経済再生相「年末年始の対応を強力に進めたい」

西村経済再生担当大臣は、記者会見で「忘年会や新年会を含めた飲食の対応や、帰省の慎重な検討について、私からも国民に改めて協力をお願いしたい。すでに首都圏の知事をはじめ、感染が拡大している地域の知事とは緊密に連携を取っているが、これまで以上に緊密に連携したい。近日中に知事会とのオンライン会議も調整しており、年末年始の対応を強力に進めたい」と述べました。

そのうえで「20代をはじめ、若い世代になかなかメッセージが届いていないことについても、いろいろな専門家からアドバイスをいただいている。SNSなどで、さらなる情報発信を行いたい」と述べました。

そして、「政府内で今、緊急事態宣言について議論しているわけではなく、専門家も今の時点で宣言が必要だということではない。宣言を出すような事態を何としても回避すべく取り組みを強化したい」と述べました。

一方、新型コロナウイルス対策の特別措置法の改正については、「国民の命を守るために必要となれば、強制力を有する措置を講ずることができるよう、検討を深めたい。与党とも連携し、しかるべきタイミングで分科会に諮るべく検討を加速したい」と述べました。