個人や企業の金融資産過去最高に コロナ禍で「手元資金厚め」

個人が保有する預金や株式などの金融資産はことし9月末時点で合わせて1900兆円を超え、過去最高となったことが日銀の統計で分かりました。民間企業も現金や預金を増やしていて、新型コロナウイルスの感染拡大で景気の先行きに不透明感が強まる中、手元の資金を厚めにしようという姿がうかがえます。

日銀が21日発表した3か月ごとの「資金循環統計」によりますと、個人が保有する預金や株式、それに保険などの金融資産の合計は、ことし9月末時点で1901兆円となりました。

3か月前より17兆円、率にして0.9%増え、過去最高を更新しました。

家計の金融資産のうち、最も多いのが「現金・預金」で合わせて1034兆円と、全体の54%を占めています。

日銀は新型コロナウイルスの影響で、外出などを自粛して消費を抑えたことが現金・預金の増加の背景にあるとみています。

また、ことし9月末時点の民間企業の「現金・預金」は309兆円、「借り入れ」は458兆円で、いずれも過去最高となりました。

新型コロナウイルスの感染拡大で景気の先行きに不透明感が強まる中、手元の資金を厚めにしようという個人や企業の姿がうかがえます。

一方、今回の統計では国債の発行残高がことし9月末時点で1201兆円に上り、このうちの45%にあたる542兆円を日銀が保有していることも明らかになりました。

大規模な金融緩和で大量の資金を供給するため国債の買い入れを進めた結果、日銀の国債保有が増え続けています。